さて,2010年4月17日に運航を開始した豊岡病院ドクターヘリ,今年度(2011年4月〜2012年3月)の運航実績の速報です.
2011年4月1日〜2012年3月31日
☆総要請件数 1608件
☆出動件数 1254件(現場 1140件,施設間搬送 114件)
☆離陸前キャンセル 354件
☆離陸後キャンセル 170件(キャンセル率 13.6%)
2010年4月17日〜2012年3月31日
☆累計出動件数 2101件
月別の推移は下記のグラフを御参照下さい.
また,3府県別の出動件数,割合です.各々の医療事情に応じた要請・出動件数となっているのでしょうか.まだまだヘリ適応だけど,要請がかかっていない事案があるかもしれません.引き続き,検証を行いさらに有効なシステム構築を心掛けます.
さて,2010年12月5日に運行を開始した豊岡病院ドクターカー,今年度(2011年4月〜2012年3月)の運行実績の速報です.
2011年4月1日〜2012年3月31日
☆総要請件数 715件
☆出動件数 715件(全て現場出動)
☆総要請件数 715件
☆出動件数 715件(全て現場出動)
月別の推移は下記のグラフを御参照下さい.2011年12月から運行時間延長に伴い,出動件数が増加しております.
今月(3月)のドクターヘリ要請件数は133件,出動97件(現場92件,施設間搬送5件),ドクターカー出動件数は142件でした.病院前救急診療が根付き,非常に有効活用されている地域であります.ご協力いただいております関係者の皆様に感謝申し上げます.
今年度最後(18時現在)の運航管理室ホワイトボードは・・・
TECCMC診療開始,ドクターヘリ運航開始2周年の労をねぎらい,運航終了後にささやかなお疲れ様会を催しました.この1年もあっっっっっっっっっっっっっっっという間に過ぎました.スタッフ一同,同じ目的,気持ちで頑張っております.2012年度も引き続きよろしくお願い申し上げます.
おいしそうなケーキと抹茶バームクーヘンの差し入れ^^
渾身の笑顔の前山先生,米田看護師.初めての協働作業・・・って.
本日の運航・運行スタッフのスナップショット.2周年,そして今年度も頑張ったの「Vサイン」で締めくくり.
☆ドクターヘリ1件目(覚知同時要請)
要請内容:意識障害
幸いにも救急隊現着後,軽症を確認,離陸後キャンセルです.
☆ドクターヘリ2件目(覚知同時要請)
要請内容:胸痛,呼吸苦
当ドクターヘリお得意の覚知同時要請.救急覚知1分後にヘリ要請です.この2年で指令課の皆様もすっかりキーワード,同時要請に慣れていただけました.
支援隊の安全確保にてドクターヘリはランデブーポイントに着陸し救急車の到着を待ちます.一番,天候の悪化した時間.実は天候不良を懸念し,この事案はドクターカーも同時に出動させ,ヘリ飛行不可時に備えていました.ヘリが無事にランデブーポイントに着陸した時点で,カーはキャンセル.ドライバーさん,前山先生,お疲れ様!医療介入をいかに短く出来るか,その手段はヘリでもカーでも良いですから.
ヘリ着陸数分後に救急車到着.永嶋先生と車内で初期診療開始.胸痛10/10,ST変化有り,橈骨動脈微弱・・・「sick!」の判断.輸液路確保,薬剤投与,速やかな機内収容,そして離陸.診療開始から離陸まで10分以内.現場慣れした2 flight doctorだからこその連携です.
初期診療が功を奏し,安定化された状態でTECCMC搬入!
☆ドクターヘリ3件目(覚知同時要請.本年度最終事案)
要請内容:痙攣,意識無し
「自宅内で急に意識を失い倒れた!」との119番通報内容.覚知同時要請!時間的にもこれが今年度の最終出動になることでしょう.雨が上がり,日差しが差し込みつつある但馬の空にJA822Hドクターヘリは舞い上がります.
無線からの情報は「小児.意識なし.呼吸あり」のみ.まあ,十分な情報です.あとは診察すれば良いだけですから.
ランデブーポイントに着陸,程なく救急車がやって来ます.陸送であればTECCMCまで40〜45分かかる地域.ドクターヘリだと救急覚知から20分以内に診療開始です.
救急車内で診療を開始するのは緊急手術対応している永嶋先生に代わって搭乗した岡先生.明けだけど相変わらず元気,消防からの信頼も厚い救急医です.幸いにも子供さんの意識は回復傾向.しかしながらまだまだ清明とは言えません.この当たりで小児の救急対応可能な病院はTECCMCのみ.迷わず基地病院へ搬送です.
ヘリポートでは今日の小児科救急外来担当の宮居先生が待ってくれてます.心強い〜^^ では,宮居先生,引き継ぎますので後はよろしくお願いしますm(_ _)m
☆ドクターカー事案(覚知同時要請)
要請内容:急に倒れた
夜も更け,ドクターカー運行終了間際にホットラインが鳴ります.カー担当の前山先生はドクターカーホットラインを夜勤の松井先生に預け,カーに乗り込みます.この時点で分かっているのは出動場所(ドッキングポイント)のみ.患者さんの情報はカー出動後に携帯あるいは無線で消防本部に聞きます.要請基準も運用方法もヘリ,カー一緒.全ては1分1秒でも早く出動し,患者のもとへ向かうこと.そのためのシステム運用です.
診療準備を行いつつドクターカーは救急隊とほぼ同着.救急隊から前山先生への第一声は「CPA, Vf!」.現場からBLS+ALSが一気に行われます.気道確保,ルート確保,薬剤投与,除細動・・・「難治性Vf!早期の搬送を優先〜!!」前山先生,救急隊隊長の考えは一致しています.
搬送中に前山先生はTECCMCホットラインへ第一報.「難治性Vf.PCPSの準備を〜〜〜!!」救急医が現場に赴く意義は,現場からの治療開始もありますが,現場から院内へ的確な指示を出し,必要な治療開始までの時間を短縮することもあります.
前山先生の指示を受け,夜勤のセンター長,松井先生,番匠谷先生はPCPS,オートパルスなどなどの準備,そして医局で居残って手術記録を書いていた永嶋先生も初療に集合,救急車の到着を待ちます.
救急車到着・・・救急医達が一気に治療を開始.初療室で経食道エコーを用いてPCPSを安全に確実に装着,導入.そして,ON CALLの循環器科医によるPCI,心拍再開.もちろん初療から脳低温療法は開始です.心カテ中の全身管理は松井先生がかかりっきりで行います.
PCPS+IABP,脳低温療法.さあ,社会復帰に向かってICU管理開始.今宵のICUは番匠谷先生です.後は任せたからよろしく!救命の連鎖が上手くつながった事案.これが当たり前になった但馬地域です.
怒濤の初療も一山越えたようで,センター長は溜まったWALK IN対応.こうして年度末まら年度初めへ,いつもと変わらないTECCMCの夜は更けていきます.って,もう朝なんですけど--;
皆様,2012年度も何卒御指導,御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.