2012年3月31日土曜日

3月31日 2011年度末 そして今年度の運航・運行実績

早いもので,2011年度(平成23年度)も本日で終了です.TECCMCの本格的診療開始,ドクターヘリ運航開始から丸2年が経ちました.地域の皆様方の少しはお役に立てているでしょうか?? 明日から気持ちも新たにさらなる飛躍を目指します!


さて,2010年4月17日に運航を開始した豊岡病院ドクターヘリ,今年度(2011年4月〜2012年3月)の運航実績の速報です.

2011年4月1日〜2012年3月31日
☆総要請件数    1608
☆出動件数     1254件(現場 1140件,施設間搬送 114件)
☆離陸前キャンセル 354件
☆離陸後キャンセル 170件(キャンセル率 13.6%)

2010年4月17日〜2012年3月31日
☆累計出動件数   2101

月別の推移は下記のグラフを御参照下さい.


また,3府県別の出動件数,割合です.各々の医療事情に応じた要請・出動件数となっているのでしょうか.まだまだヘリ適応だけど,要請がかかっていない事案があるかもしれません.引き続き,検証を行いさらに有効なシステム構築を心掛けます.



さて,2010年12月5日に運行を開始した豊岡病院ドクターカー,今年度(2011年4月〜2012年3月)の運行実績の速報です.

2011年4月1日〜2012年3月31日
☆総要請件数    715
☆出動件数     715件(全て現場出動)


月別の推移は下記のグラフを御参照下さい.2011年12月から運行時間延長に伴い,出動件数が増加しております.



今月(3月)のドクターヘリ要請件数は133件,出動97件(現場92件,施設間搬送5件),ドクターカー出動件数は142件でした.病院前救急診療が根付き,非常に有効活用されている地域であります.ご協力いただいております関係者の皆様に感謝申し上げます.


今年度最後(18時現在)の運航管理室ホワイトボードは・・・


TECCMC診療開始,ドクターヘリ運航開始2周年の労をねぎらい,運航終了後にささやかなお疲れ様会を催しました.この1年もあっっっっっっっっっっっっっっっという間に過ぎました.スタッフ一同,同じ目的,気持ちで頑張っております.2012年度も引き続きよろしくお願い申し上げます.

おいしそうなケーキと抹茶バームクーヘンの差し入れ^^


渾身の笑顔の前山先生,米田看護師.初めての協働作業・・・って.


本日の運航・運行スタッフのスナップショット.2周年,そして今年度も頑張ったの「Vサイン」で締めくくり.



本日のドクターヘリはセンター長,永嶋先生,米田看護師,ドクターカーは早番・岡先生,遅番・前山先生でスタート.途中,永嶋先生は番匠谷先生と緊急手術対応にて手術室へ.代わりに早番カー明けの岡先生がヘリに乗り込みます.

☆ドクターヘリ1件目(覚知同時要請)
要請内容:意識障害

幸いにも救急隊現着後,軽症を確認,離陸後キャンセルです.


☆ドクターヘリ2件目(覚知同時要請)
要請内容:胸痛,呼吸苦

当ドクターヘリお得意の覚知同時要請.救急覚知1分後にヘリ要請です.この2年で指令課の皆様もすっかりキーワード,同時要請に慣れていただけました.

支援隊の安全確保にてドクターヘリはランデブーポイントに着陸し救急車の到着を待ちます.一番,天候の悪化した時間.実は天候不良を懸念し,この事案はドクターカーも同時に出動させ,ヘリ飛行不可時に備えていました.ヘリが無事にランデブーポイントに着陸した時点で,カーはキャンセル.ドライバーさん,前山先生,お疲れ様!医療介入をいかに短く出来るか,その手段はヘリでもカーでも良いですから.


ヘリ着陸数分後に救急車到着.永嶋先生と車内で初期診療開始.胸痛10/10,ST変化有り,橈骨動脈微弱・・・「sick!」の判断.輸液路確保,薬剤投与,速やかな機内収容,そして離陸.診療開始から離陸まで10分以内.現場慣れした2 flight doctorだからこその連携です.

初期診療が功を奏し,安定化された状態でTECCMC搬入!


☆ドクターヘリ3件目(覚知同時要請.本年度最終事案)
要請内容:痙攣,意識無し

「自宅内で急に意識を失い倒れた!」との119番通報内容.覚知同時要請!時間的にもこれが今年度の最終出動になることでしょう.雨が上がり,日差しが差し込みつつある但馬の空にJA822Hドクターヘリは舞い上がります.


無線からの情報は「小児.意識なし.呼吸あり」のみ.まあ,十分な情報です.あとは診察すれば良いだけですから.

ランデブーポイントに着陸,程なく救急車がやって来ます.陸送であればTECCMCまで40〜45分かかる地域.ドクターヘリだと救急覚知から20分以内に診療開始です.

救急車内で診療を開始するのは緊急手術対応している永嶋先生に代わって搭乗した岡先生.明けだけど相変わらず元気,消防からの信頼も厚い救急医です.幸いにも子供さんの意識は回復傾向.しかしながらまだまだ清明とは言えません.この当たりで小児の救急対応可能な病院はTECCMCのみ.迷わず基地病院へ搬送です.

ヘリポートでは今日の小児科救急外来担当の宮居先生が待ってくれてます.心強い〜^^ では,宮居先生,引き継ぎますので後はよろしくお願いしますm(_ _)m



ドクターカー事案(覚知同時要請)
要請内容:急に倒れた

夜も更け,ドクターカー運行終了間際にホットラインが鳴ります.カー担当の前山先生はドクターカーホットラインを夜勤の松井先生に預け,カーに乗り込みます.この時点で分かっているのは出動場所(ドッキングポイント)のみ.患者さんの情報はカー出動後に携帯あるいは無線で消防本部に聞きます.要請基準も運用方法もヘリ,カー一緒.全ては1分1秒でも早く出動し,患者のもとへ向かうこと.そのためのシステム運用です.

診療準備を行いつつドクターカーは救急隊とほぼ同着.救急隊から前山先生への第一声は「CPA, Vf!」.現場からBLS+ALSが一気に行われます.気道確保,ルート確保,薬剤投与,除細動・・・「難治性Vf!早期の搬送を優先〜!!」前山先生,救急隊隊長の考えは一致しています.

搬送中に前山先生はTECCMCホットラインへ第一報.「難治性Vf.PCPSの準備を〜〜〜!!」救急医が現場に赴く意義は,現場からの治療開始もありますが,現場から院内へ的確な指示を出し,必要な治療開始までの時間を短縮することもあります.

前山先生の指示を受け,夜勤のセンター長,松井先生,番匠谷先生はPCPS,オートパルスなどなどの準備,そして医局で居残って手術記録を書いていた永嶋先生も初療に集合,救急車の到着を待ちます.

救急車到着・・・救急医達が一気に治療を開始.初療室で経食道エコーを用いてPCPSを安全に確実に装着,導入.そして,ON CALLの循環器科医によるPCI,心拍再開.もちろん初療から脳低温療法は開始です.心カテ中の全身管理は松井先生がかかりっきりで行います.

PCPS+IABP,脳低温療法.さあ,社会復帰に向かってICU管理開始.今宵のICUは番匠谷先生です.後は任せたからよろしく!救命の連鎖が上手くつながった事案.これが当たり前になった但馬地域です.


怒濤の初療も一山越えたようで,センター長は溜まったWALK IN対応.こうして年度末まら年度初めへ,いつもと変わらないTECCMCの夜は更けていきます.って,もう朝なんですけど--;


皆様,2012年度も何卒御指導,御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.







2012年3月30日金曜日

3月30日 新たな年度に向けて

平成23年度ももうすぐ終了です.1年って早い!


さて,平成24年度に向けて,さらなる飛躍を心に新しいスクラブを作りました.

モデルは三浦先生.


バックプリントはシンプルに・・・
Emergency & Critical Care Medicine


左の袖口には・・・
もちろん,TECCMCの文字を.


新年度は新たな仲間も増えます.スタッフ一同,TECCMCは日々精進いたします.今後ともよろしくお願い申し上げます.


本日のおまけ画像は,ドッキングポイントで救急車到着を待つドクターカー.春がそこまで来ています.夜の風が冷たくなくなりました^^







2012年3月23日金曜日

3月23日 Commencement

本日,幸部先生がTECCMCを卒業されました.2年の約束で千葉大学から来てくれ,TECCMCの立ち上げ,ドクターヘリの立ち上げ,集中治療の教育などに尽力いただきました.TECCMCが送り出す初めての卒業生,幸部吉郎先生.本当にありがとうね^^ お疲れ様! 送り出す言葉は「またね!またどこかで一緒にね!!」

最後の勤務はドクターカー.
最後のミッションは途中キャンセル.
いつでも"笑顔"を絶やさない奴.


幸部先生へ送る沢山の感謝.



3月20日は幸部先生のラストフライト.当日のスタッフ達とJA822Hの前で記念撮影.トーイングカーで千葉まで帰るらしい・・・



3月22日にTECCMC's farewell partyを開催.皆,笑顔で送り出し.素敵な仲間達です.

主役登場!


拡声器でエールを!


幸部先生も拡声器で「じゃ〜ね〜^^」


送別のお品の1つ,幸部Tシャツ.
番匠谷画伯デザイン.


幸部先生と戯れる・・・
愛されてるねえ,幸部先生^^
 

そして,夜は更け・・・
幸部先生,渾身の熱唱!!



Commencement:「卒業式」という意味の他に「始まり」「開始」などの意味もあります.素敵な,素敵な言葉です.TECCMC卒業生第1号の幸部先生,元気で頑張って下さい!そして・・・またね^^





2012年3月21日水曜日

3月21日 ちゃんと

最近,ドクターヘリ,ドクターカーの話題が少ない?と思われておられる方々もいらっしゃるかと思います.ちゃんと活動しておりますし,活用していただきております.ただ,ブログ更新担当者(某センター長)の手が回ってないようで・・・すみませんm(_ _)m


記録的な豪雪であった今年の冬,もう雪はうんざりと思う今日この頃.但馬地方にも春の訪れです.ドクターヘリには青空が似合います.




山間部ではまだまだ積雪の残る所もあります.今年も雪上着陸にマーキングの「バスクリン」が大活躍です.この活用は大変ありがたい!ちょっとしたアイディアが人命救助につながります.



積雪の残るグラウンド着陸.まずは安全に医療スタッフを降ろすことを考え,圧雪地にホットローディングで着陸,医療スタッフは救急車へ.医療スタッフが降りた後は再離陸し・・・


ストレッチャーで患者さんをヘリに乗せ易いよう,除雪された通路へ再着陸.医療介入を早期に実現させ,その間に搬入時間,手間の短縮を図るための配慮.運航スタッフと消防の協力あってこそのドクターヘリ事業です.お陰で現場滞在時間を短縮することが可能となりました!



天気が良くなれば人の動き,行動も活発になります.スキー場事案,交通事故事案などが増えてきます.そして,山岳事案も・・・今回はなかなかハードな事案.覚知同時要請でヘリは飛び立ちます.「山中での滑落.男性.詳細は不明.」 ヘリは20分弱で現場上空へ.まだ救急隊は現場へ入っていないようです.


ランデブーポイントに着陸し,支援車で現場へ.そこで救助隊,救急隊と合流しミッション内容などにつき協議です.現場は谷の下.アプローチは可能.ということで医療スタッフも現場に向かいます.もちろん,日常から長袖,安全靴は装着,皮手袋,ヘルメットも装着です.自分が傷病者になってはいけませんから.


2回の川渡,歩くこと十数分.現場に到着です.谷底に患者さんは横たわっています.向かいの崖を滑落した模様.


救急隊と共に谷底へ降りて,外傷初期診療開始.胸部外傷,大腿骨骨折がありそうですが,ABCDはOK,現場での医療開始よりも救助を優先し搬送を早くした方が患者さんにとっては良さそうです.医療スタッフは谷から上がり,代わりに救助隊が救助にうつります.適宜,症状,状態を確認しつつ搬送です.



ランデブーポイントに救急車で移動し外傷の緊急度,重症度から直近の基幹病院へ搬送,快く応需していただきました.幸いにも搬出中に急変はありませんでしたが,その可能性もある事案,早期からのドクターヘリ要請,医師現場要請が有用であった事案です.


TECCMC'sドクターヘリは現場出動が主な役目ですが,緊急度の高い患者さんの施設間搬送も行います.急性大動脈解離,心タンポナーデ.TECCMC救急車搬入時はショック!心エコーで心嚢液貯留あり!!心嚢ドレナージを行い,廃液量を制御しつつ血圧コントロール.循環を安定化させてからの画像検索.確定診断後は鎮静,鎮痛,挿管管理,そして血圧コントロール.経験豊富な救急医があっという間に安定化です.あとは根治的治療可能な施設への早期搬送.専門施設が快く応需して下さいました.ドクターヘリは直近のグラウンドまで25分でフライト.消防機関の快い協力を得て,無事患者さんを引き継ぐことが出来ました.やはり消防の迅速かつ快い協力あってこそ,救命の連鎖がしっかりとつながります.ランデブーポイントに来てくれた,千里時代からの旧知の救命士さんの存在は心強かった〜 関係された多くの皆様,本当にありがとうございます.



ドクターヘリ,ドクターカー共に日々粛々と活動,活躍しております.これからもどんどんと有効にご活用下さい.


病院前だけでなく,病院内もちゃんと診療しておりますよ^^ 緊急手術,集中治療,初療対応・・・日々勉強になります.志を持った医師,看護師の皆様,どうぞTECCMCの門を気軽にたたいて下さい.一緒に学びましょう!!













2012年3月16日金曜日

3月16日 ドクターカーナースのOJT第2弾開始!

ドクターカーナースの2人目,毛戸さんのOJTが開始です!


要請か ら 出動まで2分以内.病院前救急診療は病院内とは全く違った世界です.頑張って下さいね〜

2012年3月15日木曜日

3月14,15日 第48回日本腹部救急医学会

金沢市で開催されました第48回日本腹部救急医学会総会で番匠谷先生が発表です.



生涯忘れられないこの1例のセッションで「ガーゼパッキングと右肝動脈結紮術を施行したIIIb型肝損傷の治療経験」という演題です.本当に苦労して救命し得た症例でもあり,そのノイエスをきちんとまとめて報告してくれました.次は論文作成,よろしくです.お疲れ様!




発表後は少々時間も空いたので近江町市場に昼食に出かけました.昨夜の遅くに金沢入りしたセンター長は金沢での最初で最後の食事・・・これ食べたらまた勉強に戻りましょう.豊岡の海鮮も美味しいですが,金沢の海鮮もまた格別です^^



留守を守ってくれている皆様,お土産買って帰ります.ありがとうございますm(_ _)m