前山先生,佐々木先生に加えドクターカー担当の三浦先生がストレッチャーに寝転がって出動します.医者3名,看護師1名を現場投入.ドクターカー担当は明けの井手先生が代わります.重症者複数名の可能性も考慮し,他府県ドクターヘリも要請する可能性があります.日勤責任者の永嶋先生が運航管理室へ入り,全体の指揮を執ります.もちろんTECCMCは全員応需する初療体制です.この体制まで数分.ドクターヘリは現場へ飛び立って行きました.
飛行中は消防本部と前山先生の情報交換・共有.しかし,なかなか欲しい情報が入手出来ません.初動時の焦りは禁物,冷静にフライトスタッフは対応策を練ります.
早期医療介入,現場からの災害対応などを考えると出来るだけ現場に近いところに着陸するのが理想です.しかし,高速道路上の着陸は出来ません.そこで,消防本部の機転,関係者の方々の機転で現場直近のパーキングエリアにドクターヘリは着陸します.
程なく救急車がパーキングエリアに滑り込んできます.そして,医療対応の開始・・・
TECCMCで日常的に行われている複数傷病者へのミッション対応です.ホットライン入電の時点で,指令課員の方が的確に複数傷病者の情報を入れてくれることでスイッチが入ります.スイッチを入れてCSCA・・・どこかで聞いた語呂合わせですね^^
夕礼1分前,スタッフは運航管理室へ向かっていました.すると立て続けにホットラインが鳴ります.「墜落事案.背部の激痛を訴えています」「30分前からの突然の麻痺,脳卒中疑い」両方ともヘリ要請です.そして両事案とも陸路では30分以上かかる地域.さてミッションは?まず外傷事案にドクターヘリが飛びます.と同時に脳卒中事案に早期の初期治療と安定した搬送を目的にドクターカーが出動です.ヘリ,カー共に無線などで情報共有しつつ各々の現場に向かいます.
まず,10分程度でドクターヘリが墜落外傷の患者に接触,後腹膜臓器損傷を疑いますが緊急度は高く無いと判断します.ここに佐々木先生だけをドロップ,TECCMCへ向けて救急車同乗で外傷初期診療を行いつつ搬送することにします.そして前山先生とナースはカーが向かっている脳卒中事案へ.脳梗塞なら血栓溶解療法の適応が考えられます.外傷事案から10分後,脳卒中事案の患者に接触,カーはキャンセルとなりヘリにてTECCMCへ直送です.無事,血栓溶解療法も施行でき,後遺症を軽減・消失させることが出来ました.もちろん外傷の方も安定され入院です.
帰投するドクターカーから撮影したドクターヘリ.日没間際,お役に立てて良かったです^^ やっぱり空路は早いですねえ,本日も実感です.
初療対応,集中治療管理が充実しているからこその病院前救急診療,今年度も現場受入要請不応需率0%を目指して残り1日頑張りましょう.
春の日,とある1日のTECCMCでした.