2012年6月30日土曜日

6月30日 6月のドクターヘリ,ドクターカー運航・運行状況

6月のドクターヘリ,ドクターカー運航・運行状況です.


☆ドクターヘリ
要請件数 108件
出動件数 96件(現場 86件,施設間 11件)

今月はTECCMCへの救急搬入件数も一段落しており,ドクターヘリの要請,出動も落ち着いた月でした.しかしながら,出動事案の中には病院前救急診療が効果を遺憾なく発揮した症例もありました.消防機関はじめ関係機関の協力があってこそのヘリ事業です.地域住民の救命率向上,早期医療介入を考慮し,既存の医療システムをもっともっと有効にご活用願います.引き続きよろしくお願い申し上げます.



月別の運航状況です.

府県別の運航状況です.
検証可能な但馬地域の事案はほぼ全て適切なヘリ要請,活用がなされています.
他の地域では医療事情に応じたヘリ活用がなされていれば問題ありません.
早期医療介入を考慮した遠慮の無いヘリ要請をお願い申し上げます.

消防本部別の要請,出動件数です.

搬送先病院です.
搬送先の選定は重症度,緊急度に応じて
基地病院への搬入率はいつも通りです.
要請地域,搬送先はほぼ一致しております.
医療圏,生活圏を考慮した搬送先病院の選定がなされています.
ヘリが地域救急医療システムの一環として活用されています.



☆ドクターカー
出動件数 80件(全て現場出動)

但馬4消防本部の救急車出動件数割合の9割を占める時間帯(6時〜23時)の運行です.ヘリ運航時間帯はTECCMC近郊あるいはヘリ対応不可時に出動,ヘリ運航終了後は但馬全圏域に出動し,主にドッキング方式をとる運行形態です.救急救命士の研修の場としても活用されています.

月別の運行状況です.

消防本部別の要請,出動状況です.
ヘリに比べて内因性での出動が多くなっています.

搬送先病院です.
ほぼTECCMC搬送です.



各々の地域事情に応じたドクターヘリ,ドクターカーの有効活用をあらためてお願い致します.





2012年6月27日水曜日

6月27日 親睦

本日はTECCMCスタッフ,ドクターヘリ運航スタッフ,ドクターカー運行スタッフ,病院事務,消防関係者の方々と親睦会という名の「納涼会」兼「ヘリ・カー安全運航/運行にさらに努めましょうの会」でした.

何事も顔の見える関係が大切です.現場から院内まで風通しの良い組織が良いですね.常に一緒に業務を行う事,そしてOFFで屈託無く意見が言い合えるこのような会,今後も続けたいと思います.

まずは乾杯!

そして,この日は岡本先生の○○回目の誕生日.皆で「はっぴ〜ば〜すで〜」を合唱^^ さて,岡本先生,いったい何歳になったんだっけ??








2012年6月26日火曜日

6月26日 日常業務

最近,重症度がまた上がってきました.ケガや病気は気温,気圧に左右されるのでしょうか??


但馬地域は良いお天気.ヘリも青空が似合います.



さて,本日も山岳事案の紹介です.

センター長,永嶋先生,森田看護師が出動した事案です.山中で作業中に意識なし.覚知同時要請でドクターヘリはランデブーポイントへ.そしてそこからは支援車で現場へ.

関係者の方に案内していただき,山中の現場へ向かいます.相変わらず山道は険しい・・・センター長,永嶋先生は各々10kgの資機材(トーマスバッグ,エコーバッグ)を背負い,森田看護師は予備の酸素ボンベを担ぎます.

山を登る永嶋先生.
頑張れ〜!

約800m登ったところで患者さんに接触,外傷初期診療開始です.prmary survey,「橈骨弱い,FAST negative,下肢動かず!」どうやら脊髄損傷が疑われます.開いた末梢血管に応じた輸液が必要です.末梢ルートを14Gで確保し,初期輸液開始.その間にも全脊柱固定と麓までの搬送準備を行います.

「循環OK!」 消防,警察の関係者の方々と協力しながら,舟形タンカで救助です.頭元はセンター長.舟形タンカを持ちながら常に患者の状態把握,永嶋先生はヘリスタッフなどとの調整を行います.

山中でも外傷初期診療開始!
いつも身につけている皮手袋が役に立ちます.

全員が協力して下山,そしてランデブーへ.重症外傷は初期診療で安定化させながらTECCMCへヘリ搬送です.関係者の方々の迅速なご協力をいただき,患者さんは早期に安定化,救命することが出来ました.ありがとうございました.


TECCMCの得意技に1つに集中治療もあります.日々,初療担当,ICU担当,ヘリ担当,カー担当,休みと順次勤務がシフトします.幅広く,奥行き深く学べる救命救急センターです.

前山先生,初期研修医・杉山先生を指導する岡先生.

CHDF+SPE.
TECCMCでは並列で行っています.


そして,ドクターカーも日々活躍中.特にヘリ運航終了後の夜間には広い但馬管内を走り回っております.

ドッキングポイントで救急車の到着を待ちます.


 ドクターヘリ帰投時,上空から見た鳥取砂丘.「大すりばち」が真ん中に見えます.







2012年6月23日土曜日

6月22日,23日 住民の皆様へ向けた講演

6月22日は但馬地域の養護教員研修会にて,6月23日はとっとり県民カレッジ主催講座・未来をひらく鳥取学にてセンター長が講演をしました.一般市民,住民向けの講演会です.

お話しの要約は・・・
・カーラーの救命曲線の意味
  ⇒早期医療介入の重要性
・日本の救急の現状(総務省消防庁の資料をふまえ)
  ⇒救急件数の増加,現着時間,搬送時間の延長,受入困難事案の増加など
・救命の連鎖
・救命率を上げるためには(より安心,安全な街を作るために)
  ⇒カーラーの救命曲線を左へ変移させること
  ⇒それが「攻めの医療」
  ⇒ドクターヘリ,ドクターカー
・攻めの医療の実際と効果
・救急医療は地場産業,チーム医療

既存のシステムを有効に活用するためには住民の理解と協力が必要です.そして,住民の声が一番大切です.このような講演会を通して,情報を提供し続ける必要性を実感しました.

TECCMCは北近畿で唯一複数の救急医が24時間365日常駐する救命救急センターです.そして,豊岡病院のドクターヘリがカバーするエリアは但馬地域+丹波地域,京都中部〜北部,鳥取県全域です.鳥取県の皆様,鳥取県にもドクターヘリは飛んでいますよ!

資料の一部を掲載します.資料用なので,スライドの配置とは異なり,動画は含まれませんが,ご参照下さい.









さあ,また明日からも頑張りましょう.以上,情報提供でした.






2012年6月20日水曜日

6月20日 ドクターヘリ,ドクターカーは本当に有用か?

ドクターヘリ,ドクターカーは本当に有用か?よく問われることです.

有用性の一例では,
・早期医療介入による救命率向上.
・医療介入による現場医療トリアージ.
・搬送時間の短縮と地域の救急車の早期開放(ヘリのみ)
などでしょうか.いずれもある程度は数字で証明可能ですし,学会などで報告してきた通りです.また,地域救急医療システムの中で,ヘリ,カーを最大限有効活用するためには,覚知同時要請が必須です.確かに「結果的に」オーバートリアージであった事案はあります.それは病院に搬入して,諸検査を行った結果論であり,適切な要請基準に則したものであれば何ら問題ありません.限られた医療資源であるドクターヘリ,ドクターカーを地域で有効に活用するためには,何でもかんでもヘリ,カー要請してはならない,根拠(単にキーワードに合致するだけでは無く)に基づき要請すべきと全ての消防本部が考えてくれています.また,逆にアンダートリアージこそが傷病者にとって,不利益であることも重々理解されています.これからも当地域に応じた病院前救急診療の体制構築に邁進したいと思います.


今日は,医師が現場に出向くことが有用であった事案です.このような事案は稀ではなく,当地域では普通に行われている事です.

トンネル内,乗用車の事故,横転,閉じ込め事案.ドクターヘリ⇒支援車による医療スタッフの現場投入です.傷病者は出血性ショック状態,静脈路確保し初期輸液を行いつつ救助を待ちます.


救出を待つ間にフライトドクターはTECCMCへERT/ERLのprehospital orderと,ドクターカーによるO型輸血の現場搬送を指示!

傷病者が救出,と同時にレベルダウン!やはりFAST positive!!ヘリは日没にて帰投,救急車内に搬入し,TECCMCへ向け出発です.走行中に気管挿管,胸腔ドレナージ,そして,ドクターカーと途中ドッキングし緊急輸血開始.現場からの外傷診療開始!

TECCMC初療に搬入,そしてそのままdamage control surgery.unexpected survivor(予測生存率50%以下)の患者さんを救い上げました.

外傷チーム(永嶋先生,岡先生 他).
外傷外科医,チームの存在が重要です.


さて,次は山岳事案です.当地域では山岳事案は当たり前.山中にヘリは着陸できませんので,医療スタッフは10kg近い資機材を背負って患者さんのもとへ向かいます.
 
オートパルスを背負って颯爽と駆け上がる長嶺先生.

こんな斜面.
頑張れ,あ○みナース!
最終的に現場投入された前山先生による初期診療を継続させつつ,防災ヘリによる吊り上げ救助.

吊り上げ救助中もオートパルスは作動.
呼吸管理は気管挿管にて吊り上げ中もBVMを押すことで可能.


そして,山の麓で防災ヘリ,ドクターヘリとドッキングし治療を継続します.医師にしか出来ない治療,薬剤投与を考えると,考えられる選択の中ではBEST MISSION!



都会とは異なる医療事情,病院搬入まで救急車で1時間以上かかる地方の現状.救命救急センター適応事案,各消防本部の年間出動件数,ヘリ管轄範囲から試算されるヘリ出動件数と,現状の出動件数はほぼ一致しています.さらに本事業を成熟させ,地域のシステムとして確立させていくためにも,関係機関の皆様,引き続きよろしくお願い申し上げます.


ヘリを迎え入れるTECCMCスタッフ.重症の患者さんが搬入されるのでしょうか.スタッフが一丸となり,今日も大切な命が救われます.










2012年6月18日月曜日

6月18日 WET TISSUE LABO.

毎月曜日は,初期研修医の先生達と一緒に勉強する「救急勉強会」の日です.いつもは座学中心ですが,本日は永嶋先生の発案,企画で「WET TISSUE LABO.」が開催されました.食用の豚さんの腸管を用いた腸管吻合などの訓練です.


救急医,初期研修医,看護師がトレーニングです.実際の腸切除,吻合,器械の取り扱い方法など,初療室開胸,開腹,Damage Contral Surgeryのチーム医療に直結します.大変良い勉強になりました.


実臨床では,上級医が後期研修医に指導です.

佐々木先生を指導する前山先生.
それをサポートする井手先生.

一番若いフライトドクターの井手先生,あっという間に出動件数を重ね,いつの間にかフライトドクターの顔になりました.でもまだまだ精進していきましょう!

事案毎に頭の中でイメージトレーニング.


こうして,TECCMCの1日は過ぎていきます・・・






2012年6月17日日曜日

6月16日・17日 第15回日本臨床救急医学会

6月16日,17日 第15回日本臨床救急医学会でセンター長,前山先生,池田先生,毛戸看護師,吉本救命士(豊岡市消防本部)が発表してきました.本学会は多職種が一同に会し,いろいろな立場からの意見が聞けます.今回も大変勉強になりました.





発表)
<パネルディスカッション> 
センター長




<一般演題>
前山先生


毛戸看護師


吉本救命士


池田先生(フォルダにスライドが入っていないため,演題名だけです.すみません.):ワーファリンカリウム内服による凝固障害が原因と考えられるびまん性肺胞出血の1症例


TECCMCが立ち上げって2年ちょっと.地域の救急医療,特に外傷診療,災害(多数傷病者)医療,病院前救急診療は劇的に変化,改善しました.PTDの消滅,unexpected survivorの増加など数字ではっきりと証明されました.救命救急センターの体制構築はもちろんですが,MCを中心とした消防機関との密な連携も,非常に大きな要因であります.


発表された方も,留守を守ってくれた方も大変お疲れ様でした.雨の熊本,但馬からはちょっと遠かったですね^^;