本日は平成28年度第1回ドクターヘリ講演会を開催しました.多くの関係者にお集まりいただきました.
まずはセンター長がドクターヘリ稼働状況を報告しました.2010年度〜2015年度の6年間の年時推移,効果などです.
6年間で1万件を越える要請をいただき,8000件を越える対応をしてきました.最大の特徴は「現場対応」が大半を占めることです.ドクターヘリは医療者を現場に運び,早期医療介入をもたらす手段の1つです.その目的をキッチリと果たしてきました.勿論,現在もその方向性は一貫しております.
119番覚知同時要請率は83%でした.この数字は年々上昇しております.
覚知同時要請にこだわる理由は,救急隊現着後要請になると10分以上の要請遅延につながるからです.これは少なくとも10分以上は医療介入が遅れるということを意味します.重症患者にとっての10分がどれくらいの重みをもつか,救急医療に携わる方ならおわかりかと思います.
徹底的に時間を意識した病院前救急診療システムは119番から20分以内の医療提供と,40分以内の根治的治療開始を実現しています.
集約化をすすめることで,質の担保・向上を推し進めています.
院外心肺停止事案の社会復帰にもドクターヘリ事業は寄与しています(6年分の症例を現在追加検証中).
重症外傷の救命率向上にも寄与しています(6年分の症例を現在追加検証中).
消防の皆様の理解と協力によって,当ドクターヘリは有効活用され,地域にとって大きな効果をもたらしています.今年度ももっともっと質の向上を目指し,地域救急医療に邁進いたします.
センター長の報告に続き,認定NPO法人救急ヘリ病院ヘットワーク(HEM-Net)会長 國松孝次様にご講演を賜りました.元警視庁長官で,ご自身の体験から救急医療の重要性を認識され,本邦のドクターヘリの発展に尽力されておられます.
ドクターヘリの全国普及にどのようにご尽力されてきたか,法整備をどのようにされてきたかなど,政治的な絡みも含め大変勉強になりました.
これからのドクターヘリ事業は「安全」「広域」「連係」がさらに求められ,広域医療の体制,質の高い医療提供から「最寄り」ではなく,「最適」な病院選定・搬送が必須であるとのメッセージをいただきました.
本講演会に参加した関係者一同,あらためてドクターヘリ事業,地域連携,広域医療について認識を新たにしました.
國松会長には講演会後,当ドクターヘリをご視察いただき,運航会社,現場の意見を聞いていただきました.
ご多忙の中,当院までご足労いただきご講演を賜りました國松会長はじめ,ご参集いただきました関係者の皆様にこの場をかりて感謝申し上げます.今後とも何卒よろしくお願い申し上げます.