2011年8月25日木曜日

8月25日 山岳事案

本日のドクターヘリは小林,吉山先生,安積看護師.午前中は要請もなく,初療ものんびり.ICUもちょっと落ち着きを取り戻しつつあります.JA822Hものんびり・・・



そんな中,皆でお昼ご飯を食べているとドクヘリ要請PHSが一斉に鳴り響きます.お昼ご飯は中断.あっ,今日はカップ麺ではありませんので,のびる心配はありません.

いつも通りに覚知同時要請.ヘリが離陸し運航管理室から患者さんの情報(覚知内容)が入ってきます.「男性,熱中症疑い.」 ランデブーポイントは小学校の校庭です.冷却輸液などを用意しつつ小雨の中を飛行します.

ランデブーポイントへほどなく着陸.支援車が待っています.「現場はここからちょっとあります.この車で案内します!」とのこと.資機材を持って車内へ乗り込み現場へ.いつものミッションです.

ところが・・・進めど進めど現場に辿り着かず.支援車は山道へ.消防無線からは「傷病者,救急車停車位置より約500m山中・・・」.何,山中!?今年も山岳事案.しかも雨.皆さん,頑張りましょう.

ランデブーポイントから約15分は入り込んだ山中.携帯電話を通じません.頼りは衛星携帯と消防無線だけ.獣道の入口まで辿り着きましたが,さてここから入山すべきか否か.救急隊もまだ患者接触していません.状況も不明確なまま装備不十分で入山するのは危険です.情報が得られるまでココで待機.その間に,小林は現場近くまでヘリを誘導,移動させることにします.支援車内で現場直近の空き地を見逃しませんでした.

山道を約300mほど駆け下り,衛星携帯でヘリクルーに連絡します.「現場直近に着陸可能な空き地有り.場所は・・・.小林がそこで待機しています.移動して下さい.」 ヘリが我々の近くにあると,重複事案対応,患者さんの早期搬送などに極めて有効です.

数分後,EC135はエンジン音を響かせながら舞い降ります.

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そして,小林は再び入山口へ.ちょうど救急隊が患者接触したようです.無線で状況を聞きます.「男性,胸痛を訴え,接触時より意識レベル低下.出来るだけ登ってきて早期に接触願う!」との要請.であれば,消防の方を先導に,入山です.ヘリから個人防御具もおろしています.ヘルメット装着,革手袋装着,まくり上げた袖をおろし自分の安全を確保します.こんな時,いつも安全靴だと安心です.まずスニーカーでは滑って登れません.



10kgのトーマスは吉山先生が担ぎます.入山してどれくらい経ったでしょうか?消防無線を介して,運航管理室からの別事案要請です.「列車事故.ヘリ要請!」 本事案の患者接触まではまだまだかかります.その後の下山も時間を要するでしょう.であれば,別事案対応も可能と判断します.

「吉山先生は本事案に対応,小林,安積看護師で列車事故へ飛びます.以上を無線で連絡しておいて下さい.」と一緒にいた消防の方に伝え,今来た山道を下ります.雨の中,滑りつつ泥だらけになり,ヘリまで安全にダッシュです.

運航スタッフにヘリ要請の旨,伝えエンジンスタート.ところが離陸直前に「キャンセル」の無線連絡.どうやら,医師の現場投入は不要になったようです.

小林は再び入山口まで上がります.携帯はまったく通じない地域.運航スタッフの無線を借り,ヘリとの間の通信手段を確保します.

入山口には救急車,支援車が停まっており,消防無線が聞こえます.現場の状況を確認しつつ,まだまだ下山には時間を要することを理解します.吉山先生,頑張れ〜

とその時,再び他事案要請が無線連絡されます.運航管理室→消防→無線による現場への指示.ありがたい連携です.小林はその情報をもち,ヘリまで駆け下ります.

「○○消防の要請です.離陸して下さい!」 運航スタッフも迅速に対応してくれます.離陸後,連絡可能なエリアでランデブーポイントを確認です.しかし,少々距離があります.通常であればすぐにランデブーポイントできるのですが,今回は時間を要します.であれば,救急車をTECCMCへ走らせながらランデブーポイントを変更していきます.結果的には,患者さんの状態も幸い安定,救急車でのTECCMC搬入が早いとの救急隊判断で,離陸後キャンセルとなります.最後まで対応出来ず申し訳ありませんでした.

キャンセル後,ヘリはそのまま先ほどの着陸地点まで戻ります.そして,時を同じく患者さんが舟形タンカで下山.皆,泥だらけですが,吉山先生の輸液,薬剤投与にて状態は少々改善したようです.良かった!


しかし,まだ予断は許しません.持続する胸痛,モニター心電図でもSTは「ババ上がり」です.発症時間を考えると,最速での再潅流が必須です.TECCMCまで戻る余裕はなしと判断します.救急車でヘリまで数十秒,ヘリへ乗せかえ搬送開始です.

速やかに離陸.連絡可能なエリアで受入要請.直近の救命救急センターは初療〜心カテまであっという間.大学の先輩方は本当にありがたいものです.いつも最良の連携をありがとうございます.

無事,心停止することなく治療しながらの搬送を完了いたしました.

ヘリスタッフは雨でアンダーウエアまでずぶ濡れ.でも患者さんが助かれば,これもまた心地良しです.そんな余韻を楽しんでいると,「○○消防から要請.交通事故.閉じ込め.」との無線連絡です.しかし,天候が悪くどこまで行けるかわかりません.ならば,確実に患者接触可能なドクターカーも出動させましょう!

「ドクターカー出動!」 ヘリとカーが向かいます.結果的に,カーと救急車がドッキング,早期医療介入が果たせています.ヘリはやはり天候不良にて途中反転帰投.へりでもカーでも確実に患者さんに早期から接触出来ることが大切なのです.


雨の中,本当に多くの方々との連携をさせていただきました.あらためて,この地域のすごさを実感しております.本当にお疲れ様でした.


今後ともよろしくお願い申し上げます.