2019年12月11日水曜日

12月11日 掲載されました「【兵庫】へき地医療を支える,新しい救命救急センターの在り方 小林誠人・但馬救命救急センター長に聞く Vol.2」

会員限定のサイトm3.comに当センター,小林センター長のインタビュー記事が掲載されました.

会員の方は https://www.m3.com/news/kisokoza/699058?prefecture_id=28&portalId=mailmag&mmp=LZ191211&mc.l=540629014 からご一読下さい.

Vol.1の内容は https://www.m3.com/news/kisokoza/699057?prefecture_id=28&portalId=mailmag&mmp=LZ191204&mc.l=537104152 をご一読下さい.

非会員の方にはこんな内容の記事ということで.

 2010年の開設以来、常に全国トップの出動数を誇る但馬救命救急センターのドクターヘリ。円滑な運用モデルは高く評価され、日本中から注目を集めている。公立豊岡病院但馬救命救急センターでは、その他にも数々の取り組みに着手し、地方都市の救命医療体制を改革し続けている。指揮官を務める、救命救急センター長・小林誠人氏に目覚ましい活躍を支える裏側について話を聞いた。(2019年6月18日インタビュー、計2回連載の2回目)

――まず開設時に取り組まれたことは何ですか? 
 当センターは2010年4月に開設しました。この地域は昔から病院が少なく、医師不足が深刻です。都会と変わらぬ救急医療を提供するには周囲の病院との連携が必要だと考え、それぞれ得意とする分野を活かした役割分担に尽力しました。

――病診・病病連携ということですか?
 そうです。当院を含む但馬地域の7つの公立病院が、急性期、回復期、慢性期を分担しています。ドクターヘリを有する当院は、もちろん急性期、そして救急を主に担当しています。これによって専門性の高い医療を提供するとともに、但馬地域の全事例に携わることができます。例えば患者の状態、病期に応じ、各々の病院が得意とする専門性の高いあるいは地域に密着した医療を提供できると共に、当センターからの継続診療をお引受いただくことも多くなっています。もちろん急性期治療が必要になった場合はいつでも当センターに紹介していただくことで地域循環型の救急医療体制を構築することができました。
 また消防機関と協力して,但馬地域内の全救急搬送事案を検証しています。その結果、但馬地域内救急搬送の約7割が当センターに搬入され、適切な時間内に適切な救急医療を提供することが可能になっています。

――役割分担することで、そのような利点があるんですね。
 私は、一つの病院が何もかも対応する必要はないと思っています。今の日本は、都会に医師が集まり、地方は医師不足で困っている状態。なかには救命医が一人、二人で頑張っている救命救急センターもありますが、そもそも救命救急は一定の人数がいなければ正常に機能しません。それなら複数の病院が役割分担し、医師も患者も集めてしまった方が有益ではないでしょうか。
 それに病院ごとに特徴をアピールすれば、自ずと医師が集まります。当センターは兵庫県北部の非都市部にありながら、現在救急医が26人、ナースが55人、専任で在籍しています。医師に関しては、開設当初9人でしたから約3倍の増加です。

――救命医だけで26人とは、非常に大所帯の印象を受けます。どのような勤務体制をとっていますか?
 勤務は、基本的に日勤と夜勤の二交代制です。当センターでは、「診療科にこだわらず、地域の患者を病院全体で診る」という考えの元、各科と強い協力体制をとっています。二交代制なら、日中しっかり休養をとるため夜勤に集中でき、救命患者だけでなく他科の患者も含め「間口の広い」救急診療が可能。その分、他科の医師は夜間、休日の宿日直は無く、必要時に診療をお願いするオンコール体制を取っています。これにより、各科医師の業務・勤務時間軽減にも努めています。
 また、重症患者に対して病院前診療から初期診療、緊急手術、さらに一般病棟に移動後まで責任を持って担当するといった「奥行きの深い」診療を提供しており、二交代制によって「間口の広い、奥行きの深い」救命救急センターを実現しています。

――その他、地元住民に向けて取り組んでいることはありますか? 
 はい、地域の小学校から出前講座の依頼があれば積極的に出向くようにしています。例を挙げると「生命(いのち)を支え続ける日常から」、「安心安全な但馬地域を支える救急医療」、「空翔る救命救急医が語るドクターヘリの真実」、「ここに日本一の救急医療がある!!」など、さまざまです。一つは、子どもたちに自分の暮らす地域が安全であることを伝えるため。進学や就職で、但馬を出たとしても、住みよい環境であればいずれ帰ってきてくれるはずですから。それが“医療従事者として”であれば、なおさらうれしいですね。
 それともう一つは、周囲の理解を深めるためです。ドクターヘリは、着陸時に学校のグラウンドを使うことが多く、なかには騒音や埃に苦情が出ることがあります。ただこういう人も、自分の子どもがドクターヘリに感動したり興味を持ったりすれば、徐々に理解を示してくれるでしょう。
 地味な活動ですが、ドクターヘリ、ドクターカー事業を地域に根付かせるには、小さな一歩を重ねるよりほかありません。単に設備投資するだけでは、決して成り立たないのです。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。
 日本は今後さらなる人口減少、高齢化が進むでしょう。それに対応するため、現在ドクターヘリがカバーする半径80㎞圏内の二次医療圏と手を組み、広範囲の医療圏確立に向けて取り組んでいる真っ最中です。必ずや、地域住民が安心できる強固な医療体制を構築します。