2011年4月9日土曜日

4月9日 元気をいただきました

本日のドクターヘリ,カー担当は小林,番匠谷先生,藤巻看護師.朝は皆で準備です.

番匠谷先生がギャッジアップ.上腕二頭筋のトレーニングだそうです.


そして,昨日までの穏やかな時間は朝一番のヘリ要請で消し飛びます.

☆ドクターヘリ1件目 目撃ありCPA,Vf蘇生後

覚知同時要請です.ヘリのランデブーポイントとしては最短の場所.この距離であれば現場直近に支援車を待って着陸するよりは,支援車で現場に移動.


患者さんのご自宅へおじゃまし,治療を開始,直前に救急隊が除細動で心拍再開させていました!良しっということで気管挿管を畳の上で行い搬送開始です.ご自宅での治療中に支援隊の方々がヘリを直近の農道まで誘導してくれています.患者さんを中心に考えたこの連携が早期医療介入と搬送時間の短縮につながるのです.ご自宅から速やかにヘリへ搬入,TECCMCへ向かいます.


ヘリ搬送中に心臓カテーテル検査,脳低温療法などをオーダーします.推定心停止時間23分.脳蘇生へ挑みます!

(4月10日,脳低温療法終了.すると・・・意識レベルE4V4M6,ちゃんとコミュニケーションがとれるまで回復されています!)

☆ドクターヘリ2件目 小児アナフィラキシーショック

4歳の男の子.卵アレルギーがあるそうです.たまたま食べたソーセージに卵が使われていたようで・・・あっという間に顔面浮腫,全身紅斑出現,呼吸困難も出現します.

救急隊現着.アナフィラキシーショックと救命士はすぐに判断し,直近の病院へ搬入依頼をかけます.ところが,2病院に受入を拒否されてしまいます.目の前の男の子はグッタリしています!

「ドクターヘリ要請.」救命士は判断します.本当は覚知段階での要請が患者さんにとっては最良の救急医療です.ヘリ要請しつつ直近の病院へ受入要請をかけ,病院が受入可能であればヘリをキャンセルするだけ.現場は患者を中心に動くもの.もっともっと意識を変えないといけない部分・組織・体制があるのでしょう.

ドクターヘリは全速でランデブーポイントへ向かいます.ランデブーポイント到着.待ち構えていた救急車内で診療を開始します.男の子はグッタリ,顔は浮腫状,酸素化も悪い.アナフィラキシーショック,緊急度の高い状態です.


番匠谷先生はエピネフリンを投与,そして,H1, H2 blocker,ステロイドも投与します.「わかる?大丈夫?」男の子はちゃんと返事を返してくれるようになりました.

治療を行いつつ,TECCMCへ搬送です.

☆ドクターヘリ3件目,そして4件目 脳血管障害と縊頸

2件目の男の子を初療へ搬入し引き継ぎ中に要請です.「右半身麻痺.脳卒中疑い.」 覚知同時要請が徹底されている地域からの要請です.

ドクターヘリは5分ほどでランデブーポイント上空へ到着.支援車の到着を待って着陸します.上空から現場は確認しています.ちょうど先ほど救急車が現場到着したところ.我々も支援車で現場に向かいましょう!

すると,機長の携帯電話が鳴ります.「○○で縊頸.年齢,性別不詳.」 こちらも同時要請です.電話で覚知内容を確認し,脳血管障害の事案は番匠谷先生のみで現場へ,縊頸事案は小林と藤巻看護師がヘリで向かうことにします.2 flight doctor制を有効に活用です.

3件目の事案は幸い麻痺も改善,一過性の脳虚血を疑い,番匠谷先生が救急車に同乗し直近の病院へ搬送です.

そして4件目の事案はヘリがランデブーポイントへ着陸した直後の救急車が到着です.


3件目,4件目共に最短での医療介入となりました.これがドクターヘリの一番の目的ですから.

4件目の事案は救急隊の現場治療をそのまま引き継ぎ,一番近い救命救急センターへヘリで搬送です.陸送で30分以上,ヘリで5分強.機内でも治療継続に奮闘しました.いつも快く応需していただきありがとうございます.



番匠谷先生は搬送先の病院から自力で帰院.小林たちも帰投します.運航管理室で各事案の報告をお互いしつつ外を見ると,何やらヘリポートがにぎやかです.「何.何??」 良く見ると2件目で搬送した男の子とそのご家族のようです.男の子はヘリの回りを走り回っています.

ということで,ご家族とご両親の承諾をいただき記念撮影とブログへの写真アップ!ホント,元気になって良かったね〜.救命士の的確なヘリ判断と早期からの医療介入がこの姿をもたらしました!「僕,ドクターヘリだいすきっ!」笑顔に元気をもらいました.

※ご両親,ご家族のご承諾をいただいて掲載させていただきました.