第2回目の検討会は南但消防本部です.
今回も平成25年度の南但消防本部全出動事案を「死亡」「重症・重篤」「中等症」「軽症」に分類し,ドクターヘリ・ドクターカー要請・出動割合を検討しました.特に「死亡」「重症・重篤」で,ヘリ・カー要請が行われていない事案,救急隊現着後にキャンセルし結果的に「重症・重篤」と診断された事案を個々に検討してもらいました.結果,概ね適確かつ適切にヘリ・カー要請が行われていることが証明されました.しかし,特に内因性のものはキーワード方式で引っかからない事案や,救急隊の現場観察,判断の困難な事例などが一定数発生することがわかりました.また搬送先病院選定の判断はかかりつけ優先にすべきか否かなどの突っ込んだ討論も行いました.また前回の豊岡市消防本部の結果同様に,結果としてのオーバートリアージがヘリ20%,カー35%程度は必要,容認すべきことも実証されました.
続いて本署,分署,出張所,指令課からの事例発表.ドクターヘリ要請判断に苦慮した事案で,搬送中に急性冠症候群が疑われ救急隊のみでの直送か,ヘリ要請をかけるべきかの討論(これはヘリ到着までの時間的因子,支援,患者状態を考慮した判断になる旨の結論),ドクターヘリが先着した場合,関係者が1〜2人の時に関係者と共に先に現場に向かうことがあるかの討論.これは安全が確保されていなければ医療スタッフのみで現場に向かうことは無いこと,現場に向かっても関係者の誰かは救急隊を迎えに戻ってもらうことなどの結論になっています.また散水が必要なランデブーポイントを設定した時,支援車の到着が間に合わない状況では現場から離れたランデブーポイントを設定すべきか否か?ドクターカー要請時の重複対応不可事案における再要請のタイミングを考慮して欲しいなどの議論を行っております.ドクターカー再要請時に関して,基地病院内で早速フロー図を作成し,今週末のスタッフ会議で承認,周知の後に運用開始とします.このような突っ込んだ議論が出来たお陰で,より良い事業展開につながります.今回も予定した時間を超過し,当務明け,休みの皆さまにはご迷惑をおかけしましたが,また一つ検討会の方向性が確立した気がします.
これから毎消防本部に年2回はお邪魔し,このような検討会を開催していきます.ドクターヘリの出動件数は全国を対象とすれば多いかもしれませんが,比較する対象,基準は当管轄地域における需要に対する件数であり,アンダートリアージ0,防ぎ得た死0を実現するためにはまだまだ要請,出動件数共に不十分です.精度,質を向上させながら,本事業を発展させたいと思います.