2011年3月13日日曜日

3月13日 災害派遣3日目

5時20分 起床.大阪ドクターヘリチームと共に宿舎を後にし駐屯地へ徒歩で向かいます.外はまだ暗く,底冷えがします.トイレは桶にくまれた水で流し,手は消毒剤で洗います.顔をウェットティッシュで拭き,準備完了.そしてヘリも日の出とともにミッション開始可能なように準備を行います.


駐屯地内に設置されたSCUへおもむき,朝のミーティング.情報を収集し共有します.しかし,未だSCUへの搬送連絡はなく,ヘリミッションの指令もきません(携帯がつながらない!).災害急性期,どこも混乱を極めています.


しかし,必ずヘリでの域外搬送の需要はあるはずです.すると8時30分すぎ,施設間搬送(域外搬送)のミッション連絡が入ります.SCUを通さず,直接施設間同士への搬送です.宮城県災害対策本部から福島県立医大運航管理室を経由してSCUへ連絡がありました.今回のミッションは幸部先生,藤巻看護師に飛んでもらいます.小林,藤田看護師はSCUでの情報収集とミッション連絡を待っての調整を担当します.

8時40分 霞目駐屯地離陸し東北大学病院屋上ヘリポートへ4分後に着陸します.しかし,大学側にうまく情報が伝わっておらず,少々患者さんの搬入に時間を要します.日常とは異なる状況,これは致し方ありません.


9時20分 東北大学病院ヘリポートを離陸,患者さんは脳挫傷.9時39分 山形の病院のヘリポートへ着陸し待ち構えておられた山形DMATに患者さんを引き継ぎます.ここは情報が上手く伝わっており,スムーズなミッションです.


山形の病院を後にし,霞目駐屯地へ帰る途中の山形空港で給油です.ここで山口ドクターヘリと初対面.手前が山口ドクターヘリ,真ん中が豊岡ドクターヘリ.機体の違いがわかりますか?給油中にお互いのスタッフで挨拶をかわします.


給油を終え,霞目駐屯地へ.その途中,海岸線に黒煙が・・・未だコンビナート火災が鎮火されていないようです・・・


霞目駐屯地に帰投,次のミッション指令待ちです.自衛隊のご配慮により,SCU前にドクターヘリ用のヘリポートを確保していただきました.向かって右が豊岡ドクターヘリ,左が大阪ドクターヘリです.同じ機体,同じ運航会社,同じ関西.少しでもお役に立ちたい・・・


お昼を過ぎたころから市内の病院からSCUへの搬送依頼,そこから域外搬送依頼が入ってきます.ミッション依頼は3件.現在霞目駐屯地で活動可能なドクターヘリは2機.ミッション方法などを大阪チームと協議します.すると福島県立医大のCSから連絡があり,福島に駐機しているドクターヘリ1機をこちらに向かわせるとのことです.これなら1機1ミッション!

13時25分 搬送車がSCUに入ってきます.そしてそのままドクターヘリのストレッチャーに乗せ換えヘリへ搬入.


13時35分 山形の病院へ向け離陸します.患者さんは多発骨折.13時55分 山形の病院のヘリポートへ着陸し,その病院の初療へ搬入します.引き継ぎも問題なく終え,ミッション終了.


山形空港で給油です.ここも消防防災ヘリが増えてきました.


15時02分 霞目駐屯地へ帰投.追加ミッションの有無を確認しますが,無さそうです.ここでそろそろ豊岡へ向け,いつ出発するかを決める必要があります.派遣日数を考慮したメンバーの疲労程度,帰りの飛行時間,ここでのドクターヘリの需要,天候,災害状況などいろいろな要因を加味し,本日の夕方で撤収,途中まで帰投することにします.その旨,福島県立医大CSへ報告,許可をもらい最終決定です.まだまだここで貢献したい思いも強く,後ろ髪ひかれる思いではあります.被災地の皆様,申し訳ありませんが豊岡に帰投いたします・・・

16時00分 霞目駐屯地を離陸.本日は埼玉にあるホンダヘリポートまで向かいます.そこで夜間駐機,我々も埼玉で宿泊です.飛行中に上空から見た沿岸の状況は忘れることは出来ないでしょう・・・1日も早い復興をお祈りいたします.

17時12分 ホンダヘリポート着陸.給油を行い,今宵の宿へ向かいます.そして今回の派遣スタッフ全員で反省会を兼ねた食事に出かけます.着替えなどありませんから,フライトスーツに現場用のブルゾン,安全靴.するとお店にいたお客さん達から暖かい声をかけていただき,お店の大将からは暖かいお味噌汁が.このお味噌汁の味は一生忘れません.日本人の暖かさと,当たり前のことを当たり前に出来ることのありがたさを痛感します・・・


必ず第2陣,第3陣のDMAT隊,救護班をまた派遣します.今回よりももっともっとお役にたてますように・・・