本日,ドクターヘリは3件の出動があり,4月17日から749件の出動件数になりました.これは日本のドクターヘリの出動記録を更新する数字だそうです.安全第一はもちろん,地域の皆様のお役に立てていること,運航に際して多くの方々の御協力をいただいていることにあらためて感謝申し上げます.この数字は通過点でありますし,豊岡ドクターヘリはまだまだ余裕があります.今後も徹底した現場からの医療に邁進したいと思います.今後ともよろしくお願い申し上げます.
本日のドクターヘリ担当は小林,幸部先生,清水看護師です.
☆ドクターヘリ1件目 交通外傷
トラック同士の正面衝突事故.覚知同時要請です.しかし,ドクターヘリは豊岡病院周辺が濃霧のため但馬空港待機中.であれば,ドクターカーでスタッフを但馬空港へ移動させそこからの出動に切り替えます.覚知同時要請なので,時間的余裕がこのようなところにも生まれてきます.
要請から18分後にドクターヘリ,但馬空港離陸.空港職員の方々にも御協力をいただき,助かりました.上空から確認すると,霧は晴れてきているようです.これならばTECCMCへ搬送可能か,と思いつつ現場へ!
ヘリがランデブーポイント到着直前に救急車も到着.幸い,1名の方は軽症であったようです.もう1名の方がランデブーポイントへ.速やかな外傷初期診療を行い,TECCMCへ搬送です.
但馬空港からの変則出動でありましたが,ドクターカーを上手く活用することで診療開始までの時間が延びることはありませんでした.医療スタッフは常に移動手段を有しておくことが大切であるとあらためて実感いたしました.
☆ドクターヘリ2件 意識障害・左半身麻痺
救急隊現着後の要請です.ミッションはまったく問題なし.ドクターヘリを上手く活用してくれてます.もちろん,現場からの早期医療の開始と搬送先の判断,搬送時間の短縮に本事案も有用性が示されました.
但馬地域は場所によって積雪量が違っています.本事案のランデブーポイントはいまだ積雪量が30〜40cmありました.ヘリにはスノーシューが装着されており,安定して着陸出来ます.しか〜し!スタッフは普通の安全靴.ヘリから降りた際に膝まで雪に埋もれ転倒・・・患者さんのヘリへの搬入も積雪の中,救急隊はじめ皆でタンカを担いで搬入.初めての冬季運航,様々な注意点と活動方法が見えてきます.
☆ドクターヘリ3件目 乳児の呼吸停止・痙攣
救急隊現着後の速やかな要請です.「乳児の痙攣.」といった情報です.現場から救急車でTECCMCまでは20〜30分.ヘリであれば5分.現場は早期医療介入の意義と重要性を認識しています.
ヘリは積雪のないランデブーポイントへ着陸.救急車はすでに到着しています.医療スタッフは走って救急車へ.救急車内での診療が開始されます.幸部先生は診察,小林はお母さんからの病歴聴取.やはり呼吸停止があり,痙攣も生じていたようです.幸いにも今は酸素化など問題なさそう.皮膚の色も大丈夫そうです.しかし,病歴,病状より迅速な病院搬送が必要と判断します.救急車の外は寒いため,ヘリまでのわずかな搬入距離であっても十分な保温処置を行います.患児を小林が抱きかかえ,機内に収容.現場滞在時間は10分もかからずTECCMCへ向け離陸です.
飛行中,呼吸状態は安定.これでひと安心.初療で小児科の先生に引き継ぎながら診療を継続.と,その時!「呼吸してない!!チアノーゼ出現!」 日勤責任者の番匠谷先生はすぐさま補助換気.小児科の先生は末梢ルート確保.同時に治療を行います.幸いにも呼吸再開,酸素化も戻りました.
RSウイルス感染,鼻汁による鼻閉からの窒息,呼吸停止だったようです.救急隊の迅速かつ適切なヘリ要請が功を奏した事案です.救急車搬送だったら・・・肝を冷やしました.
さて,夜は幸部先生と緊急手術対応です.もうちょっとお仕事,お仕事.