2011年1月24日月曜日

1月24日 平穏な日は短し

研修医の先生とひたすらWALK IN対応に明け暮れた夜勤明けの朝,一緒に泊まっていた山邊先生から緊急コールです.「心筋梗塞,心室中隔穿孔,ショック!」 初療室脇の仮眠室(医師控え室)から飛び出すと「やばい!!」と一瞬で感じられる患者さん.いつ心停止になってもおかしくない状況です.山邊先生は頭もとで気管挿管,小林は心カテ,PCPSに備え,大腿動静脈にカニュレーションを始めます.ICU当直の松井先生も呼び出しPCPSのプライミング.とその時,「PEA!」搬送してきた救急隊がすかさず胸骨圧迫.と同時に薬剤投与.1サイクルで心拍再開.体動も出てきますが不穏状態です.鎮静と同時にPCPS装着です.

そしてそのまま循環器科の先生により心カテ,心外の先生により手術・・・朝から目の覚めるような一撃でした.

昨日から循環器系の患者さんが立て続けです.寒い毎日です.屋内外,入浴時など寒暖差が激しくなっております.皆様,どうぞお気をつけください.



本日のドクターヘリ・カー担当は小林,山邊先生,清水看護師です.ドクターヘリは雪雲が逃げた一瞬の隙をついてヘリポートにやってきます.

☆ドクターヘリ1件目 痙攣

ヘリがやってきた直後に要請です.「突然倒れて意識なし.呼吸あり.」との情報.現場直近に着陸.積雪は約20cm,慎重に着陸しダッシュで現場へ.意識状態は朦朧とされています.呼吸,循環は問題なし.低血糖なし.既往も特になし.であれば突然の痙攣の原因を精査しなければ.

スクープに乗せ,皆でヘリまで搬入です.


早期医療介入,搬送時間の短縮から早期診断にいたりました.ご協力いただきました皆様,ありがとうございました.

☆ドクターヘリ2件目 離陸後キャンセル(意識障害)

覚知同時要請です.「突然倒れて意識無し.」との情報です.ヘリがランデブーポイント上空へ到着,着陸体勢に入る直前に「意識回復,救急車にて陸送します.キャンセル.」との無線連絡です.

重症でなくて良かったですね.



2件目のミッション直後に天候悪化.ヘリは再び但馬空港の格納庫へ・・・運航時間1時間で2件要請,2件出動.効率は良いのですが・・・早く春よおいで.



夕方,運航管理室で夕礼.皆が資機材の撤収に向かった直後にホットラインが鳴ります.「峠で多重事故.複数傷病者.閉じ込めあり.」とのこと.ヘリは天候不順にて飛ばせません.ならばドクターカーの出動です.

☆ドクターカー1件目 多重事故・複数傷病者

複数傷病者との情報.ヘリの資機材を余分にカーに持ち込み出動です.出動途中,消防本部と連絡をとります.「2名は緑,1名は赤で現在救出中.」との情報です.加温輸液などを準備しながら現場に向かいます.

峠の1本道.渋滞が見えてきました.そしてその先に事故現場.誘導に従い,ドクターカー停車.


安全を確認し現場へ入ります.現場の責任者からすでに緑の傷病者は2名とも救急車に収容との情報.山邊先生が最終的な医療トリアージを行い,TECCMC搬送を指示します.

赤の傷病者はいまだトラック運転席に挟まれています.現場救命士と共に観察.骨盤骨折,大腿骨骨折が疑われます.救助の邪魔にならないよう気をつけながら上肢に輸液路確保.呼吸,循環に変動がないことを常に注意しつつ救助を待ちます.

すると,「挟まれ解除!今から車外救出を行う!!」との報告.すると少しでも体を動かすと大腿などに激痛が.これでは脊柱の安定化を図った救出は困難です.そこで呼吸,循環が安定していることを確認し鎮痛薬の投与.これで多少は患者さんの苦痛も軽減します.


後は手慣れた消防の皆さんにより車外救出.屋外は雪と寒さが強いため,すぐに救急車内へ.そして外傷初期診療をあらためて行います.準備が出来次第,救急車はTECCMCへ向け出発.走りながらの診療とホットラインへの情報伝達.

現場に医師が出向くことで,病院選定から医療介入まで時間的ロスなく全てが進みます.

消防の適切な医師現場派遣要請と,TECCMCのドクターカー出動判断が上手くいった事案です.



平穏な日は短し.明日までにいったい何人入院されるのでしょうか・・・