2011年3月25日金曜日

3月25日 格納庫

悲願の格納庫が完成しました.運用は28日からになりますが,一足先にお披露目です.


これで運航スタッフも医療スタッフも全員心も体も楽になります.ちなみに一緒に写っているのはJA822H(定期点検中)ではなくて,代替機のJA818Hです.

本日のドクターヘリは小林,岡先生,藤巻看護師が担当です.

☆ドクターヘリ1件目 目撃ありCPA

同時要請です.CPAで有効性を発揮するためには覚知同時要請しかありません.救急車で陸送するよりも医療介入までの時間短縮は30分近くであると推測されます.本事案の要請のタイミング,判断は非常に適切かつ的確です.

救急車内で必要な治療を速やかに行い,速やかに直近の拠点病院へヘリ搬送です.いつもお世話になりありがとうございます.

☆ドクターヘリ2件目 意識障害

同時要請です.食事中に突然の意識消失,いびき様呼吸.これは緊急度,重症度の高い疾患が疑われます.現場は適切な医療機関搬送にかなり時間を有するところ.ドクターヘリもランデブーポイント到着まで10分以上かかります.

ドクターヘリがランデブーポイントに近づく直前,突然に降雪が!何とか視程は確保されていますが,指示されたランデブーポイントに着陸したまま患者搬入を待つと,飛行不能になる危険性のある天候です.そこで,視程の確保されている今この一瞬に医療スタッフだけランデブーポイントに降ろし,天候の心配のない別のランデブーポイントへドクターヘリを移動,治療を行いつつ救急車もそこへ移動し搬送にかかるミッションとします.

医療スタッフは必要な資機材を持ち,ヘリから救急車へ.医療スタッフを降ろしたヘリはすぐに離陸,別のランデブーポイントへ向かいます.と同時に医療スタッフを乗せた救急車もランデブーポイントへ向け出発!早期医療介入だけではなく,搬送時間の短縮も大いに効果を発揮させるための方策です.

患者さんは深昏睡の状態.舌根の沈下,痙攣,瞳孔不同もみられます.脳血管障害・・・であれば低酸素による二次性脳損傷を防止しなければなりません.また血圧の急激な上昇には最新の注意が必要です.ランデブーポイント到着まで10分はかかりません.その間に全ての治療を完了させなければ.小林,岡先生,藤巻看護師,救急隊,各々が自分の役割,動きを瞬時に判断,理解します.小林は末梢ルート確保,血糖チェック,救急隊がテープ固定している間に藤巻看護師が用意した鎮静薬,鎮痛薬,筋弛緩薬を投与.この間に岡先生は藤巻看護師と共に気管挿管の準備.薬剤の効果が現れたころには気管挿管の準備も完了し,そのまま気管挿管完了.もちろん救急隊はセリック法で胃内容物の逆流を防ぎます.そして,バイタルチェック.挿管チューブの固定は岡先生,救急隊が行います.

ランデブーポイント間の移動中に全ての初期治療は完了.救急車がランデブーポイントに到着する直前にドクターヘリも着陸,そして車内から機内へ速やかに移動し,TECCMCへ搬送です.

治療開始から機内収容,離陸までの時間経過はいつものミッションと変わりません.チームワークと救急隊との連携,顔の見える関係がこのようなミッションを実現させます.そしてその恩恵を患者さんへ.

☆ドクターヘリ3件目 出動後キャンセル



今日は夕方に小腸穿孔の手術.番匠谷先生,岡先生,小林で担当です.ヘリの運航時間内であったため,ヘリ担当は松井先生へ交代.全てのフライトドクターがこの1年で100フライト以上をこなし,いつの間にか独り立ち.なかなか良いセンターになりました.



昨日から今日の夕方まで医学生さんが見学に来られていました.TECCMCの初療,集中治療管理,緊急手術の様子などを体験していただきました.救急医志望だそうです.WALK INから重症外傷までを診療し,救急車を断らない救命救急センターで研修されることを強くお勧めしました.TECCMCもその候補でありたいと思います.



さて,今からもう1件緊急開腹術です.幸部先生,松井先生,小林でがんばってきます.日本が大変な時期ではありますが,我々は今できる医療を地に足をつけて粛々と行います.