2011年11月17日木曜日

11月17日 同時要請だからこそ

朝一番からのヘリ要請です.TECCMCヘリポート周辺は霧がかかっています.標高の高い但馬空港は霧の中.但馬空港へ駐機していれば離陸は不可能な状態です.しかし,今は格納庫のお陰でTECCMCのヘリポート周辺の視程さえ良ければ出動可能なのです.調査の結果,要請先のランデブーポイント周辺の視程は問題なし.出動です!

霧のかかった朝一番の但馬地方.

本日は重複対応でのちょっとした工夫.もちろん両事案とも覚知同時要請でヘリ出動です.飛行中に各々の事案の情報が入ってきます.早期医療介入だけで良いか,搬送時間短縮が必要か,などを瞬時に判断します.

今回は早期医療介入だけでいけそうな2事案です.1事案目に1人フライトドクターを降ろして,近隣病院へ救急車搬送.2事案目はヘリで対応し,搬送はこちらも近隣病院へ救急車搬送.同乗はフライトナース.もし,救急車搬送中に別事案の要請があれば残ったフライトドクター1人で出動です.幸いにも別事案要請はなく,各々がヘリ待機場所へ戻り,揃ってTECCMCへ帰投です.

そんな中,我々のヘリが対応する一番遠い消防本部からの要請です.乗用車の転落・閉じ込め事案.覚知同時要請でヘリは飛び上がります.片道40分.救急車の現着にも時間を要する場所ですし,救助にも時間を要する事案です.救出してからさらに30〜40分かけしかるべき病院へ陸送すること,救出直後に救急医がその場にいること,どちらが患者さんにとって有益かということです.そのための40分,これが医療介入開始までの時間を一気に短縮します.だから覚知同時要請なのです.

・・・救急車がランデブーポイントに到着し,数分後にヘリも着陸.救急車内でフライトドクター2名とナース1名,救急救命士達による外傷初期診療開始!現場に救命救急センターがデリバリーです.気管挿管,初期輸液,そして開胸.循環を立ち上げそのままヘリ機内へ.現場滞在時間は10分以内.チームとして数をこなし経験すること,それが質の向上に直結します.

ヘリ機内でも治療継続です.しかし,循環が・・・すかさず開胸部からの心臓マッサージと薬剤投与.1サイクルでのROSC.何とか安定した状態で患者さんの引き継ぎを行う事が出来ました.

覚知同時要請でのヘリ出動でなければ,このような展開にはなりませんでした.要請元の消防関係者の方々,受け入れ先の病院の先生方に感謝申し上げます.


帰投時に給油で立ち寄った空港.物思いにふける某フライトナースの森田さん.あっ,某になってませんでした・・・本日も沢山の出動,お疲れ様でした.