2011年12月3日土曜日

12月3日 多数傷病者への対応標準化トレーニングコース

「多数傷病者への対応標準化トレーニングコース」~Mass Casualty Life Support (MCLS)~
(日本集団災害医学会ホームページより引用)


【MCLSの目的】
MCLSの目的は,消防職員・警察職員などが、災害現場で実施するべき医療について理解を深めることです.
災害現場医療に興味のある医療従事者(医師・看護師・コメディカル・病院事務官など)に,トレーニングの機会を提供します.



【受講資格】
① 消防職員
② 医師
③ 歯科医師
④ 看護師及び准看護師
⑤ 診療放射線技師,臨床検査技師,薬剤師及びその他の医療関係者で,災害医療派遣業務に従事するもの
⑥ 救急救命士
⑦ 警察官,海上保安官及び陸上自衛隊,海上自衛隊又は航空自衛隊の自衛官で,救急業務,救助業務又は災害医療派遣業務に従事するもの
⑧ 救急救命士法第34条第1号から第3号までの規定に基づき,救急救命士の受験資格を得ることができる学校,若しくは救急救命士養成所,大学医学部又は看護学部及び看護学校(准看護学校を含む)の学生又は生徒
⑨ 防災業務に携わる行政担当者
⑩ その他,運営委員会が認めるもの



【一般目標】
災害現場で実施するべき医療について理解を深め,避けえた災害死を回避する

【行動目標】
(1)災害・多数傷病者に関する基礎的な知識を習得する.
(2)災害現場対応の原則を理解し実践する.
(3)先着隊の活動ができる。
(4)災害現場医療の3T(Triage,Treatment,Transportation)を理解し実践する.
(5)各トリアージを理解し実践できる.
(6)現場救護所の設置・運営ができる.
(7)災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team;DMAT)の現場活動を理解し連携できる.



このような災害時にどう対応するか?

 列車事故時のコマンダー・若き日のセンター長

 現場は混乱をきたします.
防ぎ得た災害死を無くすために・・・






本日は上記コースの「教育内容伝授コース」をセンター長が受講しました.やはり災害対応,多数傷病者対応は多職種間での共通認識が重要です.準備が整い次第,但馬地域でコース開催いたします.もちろんMC協議会主催で!




本日のドクターヘリは5件,ドクターカーは6件出動です.


ドクターヘリ
☆1件目 救急隊現着後要請.キーワードには引っかからない要請内容で,現着後循環不全を確認しヘリ要請.搬送時間を考えても,ヘリによる早期医療介入が功を奏した事案です.


☆2件目 覚知同時要請.キーワードは「意識無し」.
BIGを用いたIOI,薬剤投与など早期医療介入が実現した事案です.直近の病院へフライトドクター同乗での搬入です.お世話になりました.


☆3件目 覚知同時要請.キーワードは「意識無し」.
2件目との重複要請です.2件目に長嶺先生がドロップされ対応,番匠谷先生が飛びます.2 flight doctor制の弾力的運航.結果的に離陸後軽症キャンセルです.離陸着キャンセルは問題無しです.ヘリ,カー要請が躊躇され,医療介入が遅れることの方が問題なのです.


☆4件目 覚知同時要請.キーワードは「倒れている」.
転倒による頭部外傷です.ランデブーポイントから現場まで支援車で移動し外傷初期診療開始.覚知同時要請だからこそ可能なミッションです.外傷はもちろんTECCMCへそのまま搬送です.


☆5件目 覚知同時要請.キーワードは「何となくおかしい,足が踏ん張れない」.
脳卒中を覚知段階で疑っての要請です.4件目活動中の要請ですが,覚知段階での要請なので少々時間的余裕はあります.4件目の患者さんをTECCMCでホットローディングで引き継ぎ離陸,ランデブーポイントへ向かいます.救急隊の現着まで時間を要する地域でもあり,ヘリと救急車はランデブーポイントでタイミング良くドッキング,タイムラグ無く医療介入開始です.これこそが,覚知同時要請のメリットであり,患者さんに最大限の恩恵をもたらします.


ドクターカー
☆1件目 覚知同時要請.キーワードは「意識無し」.
現場からの医療介入です.


☆2件目 覚知同時要請.キーワードは「意識消失」.
覚知から20分での医療介入開始.カースタッフ現着時,徐脈でショック状態!前山先生,池田先生は経皮ペーシングを直ちに施行し搬送開始です.末梢ルートの確保がなかなか出来ません・・・BIGによるIOIも困難,何とかルートを確保しTECCMCへ搬送です.病院前救急診療は日常医療とはあらゆる面で異なります.日々の研鑽が大切です.でもこの事案は病院前救急診療により心停止が回避出来た非常に良い事案です!同時要請していただいた消防も,現場対応したスタッフも「よくやった!」です^^


☆3件目 覚知同時要請.キーワードは「意識無し」.
出動後,救急隊対応にてキャンセルです.


☆4件目 覚知同時要請.キーワードは「意識無し」.
出動後,軽症キャンセルです.

☆5件目 覚知同時要請.キーワードは「交通外傷による閉じ込め,横転」.
高エネルギー外傷はロード&ゴーが鉄則ですが,早期医療介入が救命率を向上させます.搬送に時間を要するこの地域,また閉じ込め事案は現場からの外傷初期診療が有効であることは言わずもがなです.カー現着時,患者さんは救出され救急車内へ.そのままタイムラグ無く外傷初期診療開始しつつTECCMCへ向け救急車はひた走ります.覚知から20分での救急医による外傷初期診療開始.消防,医療と連携のとれた良い地域です.

☆6件目 覚知同時要請.キーワードは「胸痛」.
救急隊が現場活動中にカー現着.現場からの診療開始です.症状の増悪時対応と早期診断に有用性を発揮します.


12月から始まったカーの時間延長.要請される消防機関の意識の高さでしょう,非常に有効に活用していただいております.1人でも多くの患者さんのお役に立てますよう,引き続き協力しながら事業展開したいと思います.


本日のおまけ画像.

この季節,但馬名物の「雲海」.

 ドクターカー担当の岡本先生,藤巻看護師.
運行に関する諸問題を根気強く解決してくれてますm(_ _)m

 この季節,虹がよく見られます^^
ヘリポートから.

以前のブログにも書きました番匠谷先生作のイラスト入り看板.
このような啓蒙がありがたいです.