2011年12月5日月曜日

12月5日 TECCMC FOR SHOCK, TRAUMA and ALL Patient

但馬救命救急センター,北近畿の救急医療.総力戦の1日でした.

朝一番でドクターヘリは重複要請.ドクターカーもヘリ補完として同時出動.ドクターヘリ1件目,2件目,ドクターカー1件目は軽症出動後キャンセル.穏やかな1日の始まり,皆がそう思いモーニングカンファレンス後,皆が各々の仕事に散らばります.

午前中は絞扼性イレウスの緊急手術.画像所見を的確に読み込んでタイミング良く手術決定.腸管が壊死に陥る前に絞扼解除.的確な早期診断,根治的治療(緊急手術),集中治療,病棟管理,外来followと一貫して行うのがacute care surgery.時間的にも丁度良く,お昼にしましょう.

お昼を医局カンファレンスで食べていると,ドクターヘリ3件目の出動です.「交通外傷.傷病者2名」の覚知同時要請.ヘリ番の岡先生,池田先生,頑張って対応して下さいね,と思いつつ・・・日勤責任者の松井先生から,「重症外傷1名が搬送されます!」

現場ではFAST positive,心嚢液貯留あり,腹腔内出血あり!虚脱した血管に迅速なルート確保は困難,こんな時はBIGによるIOI.あっという間に2ルート確保し急速輸液開始と同時に気管挿管.2名の救急医が現場にいることで成せる対応です.しかし,循環は不安定,心嚢液も増えてます.救急車内で心嚢ドレナージを行い,ヘリへ搬入しようとした直後にPEAへ!岡先生は迷わずEFT.大動脈をクランプし蘇生を行いながらヘリ搬送.センター内では・・・

病院前オーダーで,事前にAB型新鮮凍結血漿の溶解を行います.

ERT, ERLの準備.手術室のスタッフが降りてきてくれます.

そして待ち構えます.

ヘリ搬入後はERTとERLを同時進行.スタッフ一同,救命に向けて全勢力を注ぎます.

そんな中でもドクターヘリの要請が続きます.ドクターヘリ4件目は「交通事故.傷病者2名」の覚知同時要請.手術対応中の岡先生に代わってセンター長が池田先生と出動.ランデブーポイントで2名に同時で外傷初期診療開始.フレイルチェストの患者さんはヘリ搬送,胸部外傷の患者さんは池田先生同乗で救急車搬送.2名ともTECCMCへ.フレイルチェストの患者さんはヘリ機内,飛行中に気管挿管を行い陽圧換気で呼吸の安定化を図ります.

センター内は救急車で搬入された他の外傷患者さんを含め,ごった返しています.そんな事情を知りつつも4件目の患者さん搬送中に重複要請.「交通事故.傷病者5名.3名は歩行可能」.で覚知同時要請.4件目の患者さんをヘリポートでホットローディングでの引き継ぎ,5件目の事案へ離陸です.手術が一段落した岡先生が複数傷病者事案との情報を聞き,ヘリへ飛び乗ります.ランデブーポイントで救急車とドッキング,救急救命士は「1名は軽症,1名は腹部外傷疑いです!」と短時間に的確な申し送り.外傷初期診療を速やかに施行,確かに腹部外傷です.センターの混雑ぶりも知っていましたが,重症外傷は当センターの絶対適応です.迷わずUターン!もう1名の患者さんは救急隊に直近への搬送を依頼です.

ヘリがTECCMCへ向け飛行中に,ドクターカー(2件目)が「交通事故.傷病者4名」の覚知同時要請で出動との連絡が入ります.今日はどうしたことでしょう.複数傷病者の事故ばかり・・・

ヘリ5件目の患者さんは搬入後に腹部外傷の診断で緊急手術へ.岡先生,よろしくです!さあ,皆さん頑張りましょう!

そんな中,ドクターカーの事案が搬入されます.黄色傷病者2名の搬入.緑2名は他院へ搬送.初療にはいったい何人の外傷患者さんがおられるのでしょうか??でもちゃんと全員安定化され,初期診療が施されています.TECCMCの総力戦.

この後,ヘリは6件目に出動,カーは夜にかけ3,4件目に出動していきました.本日は全事案が「覚知同時要請」で,病院前救急診療の有効性がフルに発揮されました.


師走の1日,師だけではなく救急隊もTECCMCスタッフも全員が走り回りました.皆様,本当にお疲れ様でした.