本日は平成25年度第5回ドクターヘリ症例検討会が開催されました.開催場所は拠点病院の1つである福知山市民病院.
ドクターヘリ症例検討会は年6回(奇数月)の開催で,第1回(豊岡病院)は講師を招聘しての特別講演ありの検討会,第2回は鳥取県立中央病院を開催場所に,鳥取県での開催,第3回,第4回(豊岡病院)はデータ解析に基づいた報告と症例の検討,第5回は開催場所を福知山市民病院に,京都府での開催,そして第6回(豊岡病院)は安全講習会を兼ねたパネルディスカッション形式の検討会になっています.
今回はセンター長が事業報告と「キーワード方式の有用性と効果」について発表しています.他は福知山市民病院の先生,福知山市消防本部から報告をいただきました.事業報告を兼ねて,センター長のスライドの1部を掲載します.
冬期に入って,日没時間が早くなり要請件数,出動件数共に減少しました.また,天候不良からの離陸前キャンセル事案が増加しています.下記に示すドクターカーなどの代替え手段でいかに補完するか,地域救急医療システムの中で解決すべき課題でもあります.
府県別の要請,出動件数,割合も例年通り.まだまだ掘り起こしが必要な地域もありそうです.搬送先は基地病院が70%以上.こちらも例年通りです.
さて,ドクターカー事業も掲載します.
ドクターカーは但馬3消防本部管内への出動が原則になっています.やはり冬期である今の時期に出動件数が増加です.キャンセル率は40%弱.キーワード方式を用いたドクターカーシステムでは妥当な数字と考えています.搬送先は基地病院がほとんどですが,ドクターヘリとのコラボ事案も増加しています.既存のシステムが可能な限り有効活用されています.
引き続き,キーワード方式の有効性についての報告です.この報告の骨子は昨年11月の日本航空医療学会で発表されたものです.
覚知同時要請率は年々増加しています.消防の理解と協力の賜です.これに伴い,覚知からの時間経過も短縮されています.
ヘリ要請に用いたキーワードの数は80%近くが「1つ」.現行のキーワードが概ね要請のスイッチを入れるに値していることがうかがえます.
キーワード方式を用いることで懸念される離陸後キャンセル率ですが,今年度は20%.アンダートリアージを無くすためには必要な数字だと考えています.まだまだ余裕はあります.取りこぼし症例0を目指して,引き続きよろしくお願い申し上げます.
キーワード方式がどれくらいの重症度を反映しているかを,消防統計(但馬3消防本部)とヘリ・カー事業の実出動事案とで照らし合わせて検証しています.死亡例はほぼ100%に対応するようになっています.しかし,重症・重篤であっても要請がかかっていない事案もあり,まだまだ掘り起こしが必要な事案もあることが判明しました.逆にアンダートリアージを無くすためには,結果的に軽症事案にも30%程度は出動する必要があることも示唆されました(こちらは救急隊現着後にキャンセルしていただければ良いだけです).
年間1200件以上の出動であっても,この数字は消防統計に照らしてみると決して多くないことがわかります.これは但馬3消防本部の統計だけを用いていますから,これに京都北部,鳥取の統計を加えると,まだまだまだまだ適応事案を掘り起こす必要があるということです.
このような取り組みによって,救命率等がどう改善したかも併せて報告しています(以前に掲載した内容です).早く論文化しなければ・・・頑張ります.
このような検討会を通じて,各消防,医療機関と益々の連携,協力を図りつつ,地域救急医療に北近畿全体で邁進する所存です.本日はありがとうございました.今後ともよろしくお願い申し上げます.