2013年3月31日日曜日

3月31日 取り急ぎのまとめです(病院前救急診療)

気がつけば2012年度も終了です.

ドクターヘリ
 要請件数 1612件
 出動件数 1282件(現場出動が90%以上)

ドクターカー
 出動件数 1300件

病院前救急診療の出動件数はヘリ,カーを合わせて“2582件”.安全にかつ有効に活用していただき,結果救命率の向上と後遺症軽減に少なからずお役に立つことが出来ました.関係される皆様のご協力に感謝申し上げます.

昨年の学会でも発表しましたが,当地域の総救急出動件数,重症度などから算出したドクターヘリ予測出動件数と実出動件数に大差はありませんでした.1つのアンダートリアージを消すために,10の結果的にオーバートリアージは大歓迎です.来年度もアンダートリアージ0を目指して邁進いたします.


今年度最終日は複数傷病者事案で終了です.現場直近着陸,ドクタードロップ,早期医療介入,ヘリ機内での外傷初期診療・・・何も特別な事では無く,粛々と任務をこなします.




そして,夕礼後は業務終了したスタッフで「安全運航・運行で3年目終了,お疲れ様会」が医局で執り行われました.素敵なケーキの差し入れは山邊先生.当院の循環器科で当センターを変わらず支援してくれてます.いつもいつもありがとうございますm(_ _)m


最後は本日いるメンバーで集合写真.今年度も激務でしたね.来年度もチームワーク良く,頑張りましょう!









2013年3月30日土曜日

3月30日 ミッション

フライトドクターは前山先生と佐々木先生.お昼前にドクターヘリ要請です.運航管理室への要請内容は「高速道路上,乗用車事故.車外放出の傷病者がある模様.傷病者は4名程度」とのこと.複数傷病者のスイッチが入ります!

前山先生,佐々木先生に加えドクターカー担当の三浦先生がストレッチャーに寝転がって出動します.医者3名,看護師1名を現場投入.ドクターカー担当は明けの井手先生が代わります.重症者複数名の可能性も考慮し,他府県ドクターヘリも要請する可能性があります.日勤責任者の永嶋先生が運航管理室へ入り,全体の指揮を執ります.もちろんTECCMCは全員応需する初療体制です.この体制まで数分.ドクターヘリは現場へ飛び立って行きました.


飛行中は消防本部と前山先生の情報交換・共有.しかし,なかなか欲しい情報が入手出来ません.初動時の焦りは禁物,冷静にフライトスタッフは対応策を練ります.

早期医療介入,現場からの災害対応などを考えると出来るだけ現場に近いところに着陸するのが理想です.しかし,高速道路上の着陸は出来ません.そこで,消防本部の機転,関係者の方々の機転で現場直近のパーキングエリアにドクターヘリは着陸します.



程なく救急車がパーキングエリアに滑り込んできます.そして,医療対応の開始・・・

TECCMCで日常的に行われている複数傷病者へのミッション対応です.ホットライン入電の時点で,指令課員の方が的確に複数傷病者の情報を入れてくれることでスイッチが入ります.スイッチを入れてCSCA・・・どこかで聞いた語呂合わせですね^^


夕礼1分前,スタッフは運航管理室へ向かっていました.すると立て続けにホットラインが鳴ります.「墜落事案.背部の激痛を訴えています」「30分前からの突然の麻痺,脳卒中疑い」両方ともヘリ要請です.そして両事案とも陸路では30分以上かかる地域.さてミッションは?まず外傷事案にドクターヘリが飛びます.と同時に脳卒中事案に早期の初期治療と安定した搬送を目的にドクターカーが出動です.ヘリ,カー共に無線などで情報共有しつつ各々の現場に向かいます.

まず,10分程度でドクターヘリが墜落外傷の患者に接触,後腹膜臓器損傷を疑いますが緊急度は高く無いと判断します.ここに佐々木先生だけをドロップ,TECCMCへ向けて救急車同乗で外傷初期診療を行いつつ搬送することにします.そして前山先生とナースはカーが向かっている脳卒中事案へ.脳梗塞なら血栓溶解療法の適応が考えられます.外傷事案から10分後,脳卒中事案の患者に接触,カーはキャンセルとなりヘリにてTECCMCへ直送です.無事,血栓溶解療法も施行でき,後遺症を軽減・消失させることが出来ました.もちろん外傷の方も安定され入院です.

帰投するドクターカーから撮影したドクターヘリ.日没間際,お役に立てて良かったです^^ やっぱり空路は早いですねえ,本日も実感です.



初療対応,集中治療管理が充実しているからこその病院前救急診療,今年度も現場受入要請不応需率0%を目指して残り1日頑張りましょう.


春の日,とある1日のTECCMCでした.
















2013年3月27日水曜日

3月27日 早いね,3年って

2010年4月1日,岡本先生は千里救命救急センターからセンター長に引き抜かれてTECCMCへ入職しました.あの日から3年,とうとうこの日がやってきました.岡本先生の最終ヘリミッション,そして24時間勤務・・・

3年間のうち,1年間を当院の消化器科に研修でお世話になりました.お陰様で,内科ベースの救急医として卒業させることが出来ます.本当に皆様に愛され,お世話になりました.本当はもう少し手元において,もっともっと教えたいことがあるんだけどなあ,とセンター長はぼやいておりました.でもいろんな意味での「壽退職」,神戸でも頑張ってね^^

TECCMCの立ち上げと同時にドクターヘリ事業の立ち上げにも尽力してもらいました.千里救命救急センターのドクターカーで経験した病院前救急診療の知識を最大限に発揮です.写真は2010年4月17日の運航開始記念式典のものです.初期メンバーと共に.


このセンターの礎を築いてくれたスタッフの1人,貴重な経験ですよ.救命救急センターの立ち上げ,ドクターヘリ事業の立ち上げなんてなかなか経験出来ませんから^^ でも大変だったと思います.本当にありがとう!


訓練飛行で2回(2010年4月9日,4月15日)の飛行を経験し,2010年4月21日に初フライト・出動,重症外傷事案でした.その日は3件の出動をこなしてくれたことを覚えています.その後は,着実に現場を経験し,山岳事案,現場直近着陸&ダッシュ,灼熱の夏,極寒の冬などなど何百件飛んだのでしょうか.写真はほんの一部ですが,これを見て思い出しました.2011年3月11日の当直は岡本先生,翌朝に豊岡病院DMAT隊が日の出とともにフライトすること,留守はよろしくとセンター長が伝えたことを.下段にその瞬間が写っています.このころは少ない人員で大変でしたが,よくやってくれました.


この写真は岡本先生のまた違った一面が写ってます.2010年9月25日第9回大阪千里メディカルラリーでは岡先生,濱看護師,福本看護師,吉本救命士,谷垣救命士と初代TEAM TECCMCで出場し,準優勝の栄冠を手に,次年度以降の優勝につながる活躍をしてくれました.誕生日を毎年スタッフに祝ってもらい,いろんな人にかわいがってもらいました.写ってる写真は笑顔ばかりだねえ^^


そういえば先日結婚もしました.豊岡で素敵な年月を過ごした結果ですよ〜 皆で祝福,祝福.



でもとうとうこの日がやってきました.2013年3月27日,最終フライト.今日のお相手はこのメンバー.初めてのミッションから一緒のセンター長と機長,そして前職場から一緒の清水看護師.申し分ないスタッフでしょ,岡本先生?


いつも通りに朝の点検.


本日は3件の出動.寒の戻りで寒かったです(岡本先生談).そして本当に最終ミッション.TECCMC's DOCTOR HELI.らしく,覚知同時要請で救急車がランデブーポイントでドクターピックアップし共に現場へ.最良の病院前救急診療を提供です.岡本先生らしいミッションで締めくくり.


夕礼では運航スタッフの方々に3年間のお礼.笑顔,笑顔^^


資機材の撤収に格納庫へ向かうと,スタッフ達のサプライズ〜 「ありがとう岡本先生」


番匠谷先生から記念品と旦那さんのお面も贈呈・・・お面は微妙・・・


はい,最後は皆で「お疲れさ〜ん」 笑顔,笑顔で最終ミッション終了!


同じ兵庫県,いつでも遊びに来てくださいね.今宵は24時間勤務,明けでお昼までドクターカーでTECCMCの勤務終了です.「どんだけ働かせるんですか〜,センター長〜」岡本先生が初療室で笑ってます.














2013年3月26日火曜日

3月26日 症例検討会

本日は但馬地域メディカルコントロール協議会主催の症例検討会を午後から開催しました.出席者は但馬4消防本部の救急救命士,救急隊,指令課員とセンター長.TECCMCのスタッフは緊急穿頭,ICU管理などでお留守番です(申し訳ないm(_ _)m).

お題は「ドクターヘリ・ドクターカーの継続,キャンセルをいかに判断するか」です.但馬4消防本部では覚知同時要請はもはや当たり前になっております.その次の段階で,限られた医療資源のドクターヘリ,ドクターカーを継続し早期医療介入を果たすか,あるいは救急隊のみで安定した状態で病院まで搬送可能か(ヘリ,カーキャンセルあるいは現着後要請),などにつき実際の症例を基に議論いたしました.

ある程度ヘリ,カー要請時に指令課の方々がキーワード方式ではありますが,精度を上げる努力をされ,適切な要請に努められています.現着した救急救命士,救急隊は何を基準に早期医療介入の必要性,有用性を瞬時に判断すべきか!?そこには的確な観察と判断・評価が必須となります.気道,呼吸,循環が本当に安定しているのか,この病態の原因は何なのか,搬送中に起こるかもしれない症状は何なのか,そこに医療は介入した方が傷病者にとって有益なのか,などなど一連の病歴,病態から速やかに判断する必要があります.今回の症例検討会で某かのヒントを皆さん得られたのではないでしょうか.

現場から動き,変わっていく組織,地域は良いものです^^ まさに「顔の見える関係」の賜です.今後とも末永くよろしくお願い申し上げます.そして,また次のステップへと進みましょう!


消防の方々だけではなく,院内の底上げにも頑張ってます.先日,前山先生がCMDとなって第11回院内ICLSコースが開催されました.医療者たる者BLS,ALSが出来て当たり前,院内のインストさんが熱心に指導してくれました.こちらも定期的に開催しています.引き続きよろしくお願いします.







2013年3月24日日曜日

3月24日 THE LAST FLIGHT, but To Be Continued!

とうとうこの日がきました.長嶺先生のTECCMCでの最終フライト.2011年4月1日に入職.この写真は2011年4月4日に外傷初期診療で胸腔ドレナージを行っている画像です.安定した診断能力と確実な手技に感心したことを思い出しました.


2011年5月2日が人生初フライト.この日の様子は当ブログ「2011年5月2日デビューその2」でご覧下さい^^ ちなみにその日の写真.何か若いなあ.


この2年でどれくらいフライトしたのでしょうか??400?500? どこに出しても恥ずかしくないFirst Flight Doctorです.

本日の相棒達は米田夫妻(番匠谷先生).いろんな意味で息の合ったトリオです.ちなみに番匠谷先生と長嶺先生は同学年.昨日は松井先生が相棒で,こちらも同学年.そう,この2日は同学年同士で現場に出てもらいました.これからも長〜いお付き合いになるしね^^




長嶺先生は昨日もフライト,そのまま24時間勤務,そしてそのまま明けでフライトをしてもらいました.TECCMC入職時から「病院前救急診療を極めたい!今までとは違う救急医療を学びたい.そして,いずれは地元に帰ってそれを還元したい!!」と強い気持ちをもっていました.ならば集大成は2日連続のフライトでしょう.TECCMCの心構えをちゃんと盗んでいったようです.

ミッションの合間に青空の下で集合写真.長嶺先生も大喜び〜 本日出勤しているメンバーの男女チームでも便乗しパチリ.女子チーム,何してる?そう既婚者と独身者の“区別”らしいです.



上の写真で終わったと思わせておいて,ミッション終了後,2年間お世話になった長嶺先生へスタッフからの感謝の気持ちです.資機材の撤収に来るのを見計らってヘリ内で皆待機.何人乗ってるの??


はい,開けてビックリ!でも笑顔.


花粉症ですか?涙目になってますよ〜



皆で胴上げ〜.これからも空高く羽ばたいてくださいね.


良い笑顔だね.すっかり1人前の救急医の顔です.故郷の宮崎に大輪の花を咲かせて下さい.そして,TECCMCで学んだ救急医療の原点と病院前救急診療の本質を忘れないで下さい.2年間お疲れさん,そしてありがとうね.あと数日はこき使うから^^v


































2013年3月23日土曜日

3月22日・23日 茨城県〜滋賀県

春の青空です^^ 気持ち良い季節になりました.


22日は当ブログがリンクを張らせていただいています「水戸済生会総合病院 救命救急センター」須田先生にセンター長がお招きいただきました.往路に多少のトラブルが生じたようですが,無事1時間少々の講演を終えております.


当センターの立ち上げ,ドクターヘリ・ドクターカー事業の立ち上げ,診療体制の変遷などこの3年間の取り組みを紹介しております.

講演後にヘリポートにお邪魔すれば,ちょうどホットミッションがかかった直後!茨城県ドクターヘリも須田先生はじめ,フライトスタッフ,消防の方々のご尽力で有効に活用されているようです.我々ももっともっと精進しなければ.



23日は滋賀県大津市で「第107回日本救急医学会近畿地方会(救急医学研究会)」が開催されました.

当センターからは・・・
センター長:
 座長(一般演題 外傷・熱傷),幹事会

岡先生:
 一般演題 放射線性膀胱破裂後に甲状腺クリーゼを来した1例

中嶋先生:
 一般演題 意識障害を主訴とした感染巣不明の脾摘後肺炎球菌性敗血症の1例

症例報告が中心の学会ですが,なかなか勉強になる演題もあり明日からの臨床に役立てそうです.


そんな中でもセンターはドクターヘリにて重症外傷を搬入.陸路,近隣では救命不可能であろう重症外傷です(もちろん覚知同時要請).搬入直後からのDCS,全身状態をしっかりと立ち上げて明日,planned re-operationですね.センター長,岡先生も滋賀県から帰豊し大外回りで口だけの参戦でした.


臨床に勉強に年度末なんか関係なく爆進するTECCMCです.スタッフの皆様,本当にお疲れ様ですm(_ _)m









2013年3月21日木曜日

3月21日 TECCMC's 壮行会

春は異動の季節です.本日はこの3月でTECCMCを“卒業”するメンバーの壮行会を行いました.

医局は岡本先生,長嶺先生のお二人です.壮行会なので笑顔,笑顔^^


岡本先生はTECCMCの立ち上げから3年,前職から合わせるとセンター長,岡先生とは丸々5年一緒の時間を過ごしました.結婚を機に神戸に異動です.センター長曰く「娘を嫁に出すときはこんな気分かなあ・・・」とつぶやいておりました.いつまでも“優しさ”と良い意味の“頑固さ”を持ち続けてください.

長嶺先生はTECCMCで2年,寸暇を惜しんで貪欲に仕事をこなしてくれました.Acute Care Surgeryとの出会いは彼の人生目標を大きく変えました.10年,20年先を見据えて故郷の宮崎へ異動です.センター長曰く「後20年は手元に置いておきたい逸材なのになあ・・・」とぼやいておりました.宮崎で大輪の花を咲かせることを期待しています.

TECCMCが立ち上がって丸3年.倉橋先生(〜2011年7月・八鹿病院へ),山邊先生(〜2012年3月・当院循環器科へ),幸部先生(〜2012年3月・医局人事へ)は指導者として貢献され,まさに異動という感じでした.この2人はTECCMCで学び,成長し,1人前の救急医・集中治療医となり,地域とセンターに十二分に貢献してくれました.卒業おめでとう!胸を張って,TECCMC出身ですと名乗ってください.それがセンタースタッフ一同からの気持ちでもあり,センター長からの送別の品の意味です^^

医局,看護部,事務部,運航スタッフ,消防・・・これがTEAM TECCMC.皆,いい顔してるでしょ^^



センターは他院救命救急センタースタッフが見学に来られたり,ヘリ,カーが相変わらず活動したり,重症外傷事案では関西地区の救命の人脈のありがたさを実感したり・・・そして,もちろんセンターを今も守ってくれてるスタッフもいます.良いなあ,救命,TECCMC.ちょっと肌寒い春の夜に,暖かい気持ちになりますね^^