2011年1月5日水曜日

1月5日 こんな日も・・・

救急車24台(ヘリ搬入含む),入院20名(内,救命救急センター7名).このほとんどが日勤帯に集中しておりました.さずがの岡先生,三浦先生コンビもグッタリ.本当にお疲れ様.でもこれで終わりではなく,夜間に緊急手術2件.集中するこんな日もありますね.いつもいつもこんな感じではないのですが (^_^;

本日のドクターヘリ,ドクターカー担当は小林,山邊先生,清水看護師.朝は病院周辺だけ霧が濃くこんな感じ.


 しばらくするとこんな感じ.


こうなると何の憂いもなく飛び立てます.

☆ドクターヘリ1件目 施設間搬送(呼吸不全)

透析患者さんが突然の呼吸困難にて施設間搬送の依頼です.ヘリは雪山を横目にランデブーポイントまでひとっ飛び.


ランデブーポイントで救急車内の患者さんを診察します.頻呼吸,努力様呼吸,酸素飽和度低下,頻脈・・・非常にcriticalな状況です.いつ心停止してもおかしくない!このまま飛行するのは危険と判断し鎮静下に気管挿管を行います.とその時恐れていたことが.低酸素からの心停止です!救命士さんたちと速やかに心肺蘇生開始.良質な胸骨圧迫,気管挿管,薬剤投与.無事に心拍再開.状態的にTECCMCへの搬送が適切と判断し,ヘリは来た空路を戻ります.

ICUで呼吸管理,CHDF,脳代謝管理を行い,夕方には覚醒され呼吸状態も安定されました.

☆ドクターヘリ2件目 乳児心肺停止

1件目の搬送中に要請です.1件目の患者さんをヘリポートで引き継ぎ,山邊先生は引き継ぎと治療継続のためそのまま初療へ.小林,清水看護師が離陸です.2 flight doctor制を有効に活用します.

「乳児,意識無し.」との情報.現着後の救急隊の追加情報を待ちながらフライトします.ランデブーポイント着陸直前に追加情報です.「CPA, CPA. CPR中!」 

JA822Hドクターヘリはシャーベット状の雪が積もったグラウンドに静かに着陸.雪の上のバスクリンはよく目立ちます.


直後に救急車到着,車内で治療開始です.救急隊は気道管理と良質な胸骨圧迫.我々はIOIにての輸液路確保と薬剤投与.そしてヘリ搬送を考え気管挿管です.PEAの状態ですが,徐々に脈拍数は上昇しています.心拍再開の可能性もあります.ヘリ搬送中のCPRを考え,患児を抱きかかえ片手での胸骨圧迫を行いながら雪のグラウンドをヘリに向かいます.呼吸管理は救命士.顔の見える関係では阿吽の呼吸です.そして,機内へ.小林は無心に胸骨圧迫を,呼吸管理,薬剤投与,時間管理は清水看護師です.ヘッドセットを通した会話は無くとも,型どおりのCPRが行われます.多職種間でのプロトコールの認識,病院前救急診療では非常に重要なことです.

数分のフライトでTECCMC搬入.救急医と共に小児科の先生方も治療に加わります.そして,「心拍再開!」ドクターヘリによる早期医療介入と多職種間の連携が小さな命をつなぎ止めた事案です.

☆ドクターヘリ3件目 突然の意識障害

2件目を搬入した直後に要請です.小児科の先生方に引き継ぎを行い,小林,1件目の治療を一段落させた山邊先生,資機材の準備を慌ただしく終えた清水看護師はヘリポートまで走ります.「ちょっと〜,山邊先生!一つくらい持ってよ〜!!」トーマスバッグ成人用,小児用などなどを抱えた清水看護師の悲痛な叫びがこだまします.

連続出動で給油を終えたJA822Hドクターヘリは三度離陸.「突然の意識障害.」との情報.現場は市街地からほど遠い雪深き場所.ランデブーポイントのグラウンドは消防の皆様により圧雪が試みられていました.しかし,雪質から水たまり状態になっており,積雪時対応をまた一つ学びました.


ランデブーポイントで救急車の到着を待ち,そして診療開始.気管挿管,オートパルス装着.厳しい状況ではありますが,かかりつけの直近病院へヘリ搬送です.救急車なら20分以上かかるところを5分もかからず到着です.早期医療介入と搬送時間の短縮といったどくたーヘリの有用性は発揮されました.

☆ドクターヘリ4件目 低体温・意識障害

溜まった記録,カルテを書き終えた良いタイミングでの要請です.「呼びかけても反応が乏しい.」との情報です.ヘリは数分で現場上空へ.救急車はまだ現場到着していません.しかし,現場直近は積雪で真っ白.着陸は不可能です.そこで,ランデブーポイントに支援車の到着を待って着陸,支援車で現場投入のプランとします.ランデブーポイントのグラウンドもやはり積雪で真っ白.20〜30cm程度の積雪とのこと.


雪質と3件目の反省をふまえ,圧雪せず着陸です.シャーベット状の雪は舞い上がらず,スノーシューの威力も絶大,安定した状態で踏ん張っています.


定員の関係で山邊先生,清水看護師が支援車で現場へ.残った小林,他のスタッフは患者さんの搬入に向けヘリ回り,ヘリまでの経路を雪かきです.すると関係者の方が除雪機を持ってきてくださったり,雪かきを手伝ってくださったり・・・ありがたいことです.大変助かりました.本当にありがとうございました.


雪かきも完了したところで,山邊先生達同乗の救急車が到着.低体温,徐脈,循環不全の患者さんです.ここからならTECCMCまで数分.救急車で行くよりも断然早く有効な復温も可能です.雪かきしたての道を患者さんはドクターヘリ内へ.暖かな機内から暖かな初療へ.治療は引き継がれます.



冬期運航になってあらためて,消防の皆様はもとより,多くの方々のご協力に感謝申し上げます.


さて,会議に出て手術2件して夜勤です.明日も天気もつかなあ・・・