2011年1月8日土曜日

1月8日 ゲレンデ着陸

世間は3連休の初日だそうです.お昼くらいに気付きました.救急医たちは交代制勤務なので日付の感覚がありません.看護師さん達と同じですね.

今日は午後から初療はごった返しておりました.観察室のベッドが足りず,簡易ベッドを持ってきて対応.敗血症性ショック,脳内出血,外傷などなど.緊急度・重症度の高い方を優先いたしますので,待ち時間が発生することは御了解ください.

ICUは気管切開,血液浄化療法,人工呼吸管理と,比較的淡々と業務が行われていました.

本日のドクターヘリ・カー担当は小林,松井先生,森田看護師です.朝から天気も良く,本日はストレス無くヘリ出動可能です.

☆ドクターヘリ1件目 頸髄損傷

今シーズン初めてのスキー場事案.「スノボで着地に失敗.頭を強打.」との情報です.現場はスキー場の密集地.取り敢えずは決められたランデブーポイントへ向かいます.

数分で現場付近上空に到着.スキー場の特定に少々時間を費やしましたが,場所を特定.消防本部から,「支援隊,救急隊の到着には時間を要する.スキーパトロールに連絡済み.着陸ポイントの設定,安全確保確認済み.上空からの安全を確認の後にゲレンデに着陸願う.」との無線です.


上空から着陸ポイントの目印を確認.


スキー場のゲレンデに着陸です.


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安全に着陸,そのまま目の前のパトロールセンターへ向かいます.ヘリ着陸とほぼ同時に救急隊もスノーモービルに乗って到着.関係者の皆様のご協力で,早期医療介入が実現いたしました.ありがとうございます.

患者さんは意識清明,呼吸,循環は安定していますが上肢の知覚過敏,運動麻痺を訴えています.頸髄損傷かあ・・・骨折があれば手術も必要ですし,薬剤投与も急がねばなりません.その後のリハビリも.患者さんの住所は?大阪方面.スキー場ですから遠方の住所の予想済みです.ここからであれば30分以内に大阪への搬送は可能です.早速,松井先生は病院選定.その間に患者さんをヘリに搬入です.


ゲレンデの圧雪された雪面に着陸しているJA822Hドクターヘリまで,皆でバックボードごと持ち上げ搬送です.

搬送先病院決定.周囲の安全を十分に確保していただいたドクターヘリはゲレンデから離陸.晴天の雪山をあとにします.

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搬送中,状態の変化無く無事病院到着,引き継ぎを行います.

今回,初めてゲレンデに着陸しましたが,多くの方々にご協力により迅速な対応が可能でありました.そのお陰で,早期医療介入と搬送時間の短縮にもつながり,患者さんにとっては後遺症軽減につながることになります.あらためて,スキー場および消防の関係者の皆様に御礼申し上げます.

☆ドクターヘリ2件目 交通外傷(骨盤骨折,出血性ショック)

1件目の搬送を終えた直後に要請です.しかし,燃料が足りません.一度,直近の空港で給油してから要請継続を問うこととします.

いつもより給油時間を長く感じながら待ちます.給油完了.要請は?「要請継続,要請継続.ランデブーポイント○○番に向かってください.」とCSから.どうやら直近含め,受け入れ先の病院がないようです.受傷機転,状態の情報などから重症が予測されます.

受傷から1時間,ヘリはようやく患者さんと接触します.受け入れ先がない状態ではこれが最善なのかもしれません.救急車内に乗り込み,松井先生と外傷初期診療を開始.気道,呼吸,循環は見た目上問題ないようにみえます.しかし,皮膚は湿潤,冷汗あり!体は正直です.ではその原因は?骨盤骨折かも!患者さん御自身は足の付け根を痛がられます.初期輸液を行いながら,迷わずTECCMCへ搬送です.

搬入し,primary surveyからsecondary survey.やはりありました,後方成分のやられた不安定型骨盤骨折,しかも出血しています.高齢者の場合,突然急変する可能性もあります.注意しつつ血管造影と骨盤創外固定の準備.とその時,恐れていたことが・・・突然の循環不全.緊急輸血,気管挿管.何とか立ち上げます.急がねば.しかし,状況はどんどん厳しくなっていきます・・・



ドクターヘリは万能ではありません.その地域の医療システムの1つとして有効に活用されてこそ,その効果を発揮します.やはり一番足りないのは,受け入れ先の病院,医師なのでしょうか.国,行政の対応は・・・何年経っても変わりません.ドクターヘリ事業に携われば携わるほど,こんな問題もあらためて痛感させられます.



夜,車の窓が凍っていました.寒いはずです.